ヴァン・ダイク・パークス「ディスカヴァー・アメリカ」

ディスカヴァー・アメリカ

ディスカヴァー・アメリカ

ヴァン・ダイク・パークスが自身の音楽のテーマをはっきりと表明した第2作。サイケな要素は減少したけれど、前作「ソング・サイクル」から受け継がれたアメリカン・ミュージックのあれやこれやに加えて、当時彼が傾倒していたカリプソの要素が加わり、スティール・ドラムの響きが鮮やかな、明るくわかりやすい小品集となりました。内からだけではなく、外からの視点も導入した複眼的アメリカ探訪の旅。それはすなわち、「スマイル」での「♪英雄と悪漢よ、自分たちのやったことをよく見るがいい」という言葉のヴァリエーションといえるでしょう。そのような諷刺、アイロニーをはらみつつ楽しさ一杯のポップ・ミュージックを聴かせてくれるのがヴァン・ダイク・パークスの真骨頂。サウンドもよく聴くとかなり変なことをやっていて、同じ曲に2種類のストリングス・アレンジを施してそれを一緒に重ねるなんてこともやってます。なにしろフランク・ザッパに対して「あいつは普通すぎる」と評した、というエピソードもありますからね、やはり只者ではありませんよ。冒頭いきなりマイティ・スパローの歌が始まり、短いナレーションを経て本編に入っていく構成も斬新。ピチカート・ファイヴの『女王陛下のピチカート・ファイヴ』はきっとこれに影響受けていますよね。