細野晴臣&環太平洋モンゴロイド・ユニットfeat.MICA BOX 於猿田彦神社

おひらきまつり


「道ひらきの神」であるサルタヒコに導かれ・・・というと大げさですが、伊勢の猿田彦神社でひらかれた「おひらきまつり」に行ってきました。目的は特別ユニット「細野晴臣&環太平洋モンゴロイド・ユニット」による奉納演奏を聴くこと。近鉄線の宇治山田駅で下車してバスに乗ることおよそ15分のところに猿田彦神社はあります。伊勢に行くこと自体が初めてだったので、本当は外宮や内宮も参拝したかったのですが、バスに乗ってる間に出発前から気になっていた曇り空からとうとう雨が降り始め断念。とにかくまっすぐ目的地へ向かうこととしました。猿田彦神社は想像していたよりも小さなところで、本当にここで演奏があるのかと思いましたが、会場となる方面から何やら音が聞こえてきたので、本殿の裏手にある「御神田」へと向かいます。ちょうどリハーサルが始まっていました。それにしても素晴らしいロケーション。およそ10m(自信なし)四方の御神田の中央には野焼きのための木が組まれ、その奥にステージ。周囲はぐるりと森に囲まれて、私のように霊感にてんで縁のないものでもなにかしら感じるものがある場所でした。


やがてリハーサルは終了し、メンバーは一旦退場。折り良く雨もあがったところで神主と、サルタヒコ研究の第一人者である鎌田東二*1他数名が登場。まつりの開始の儀式が執り行われました。篝火もたかれたところでステージにモンゴロイド・ユニットが現れました。今年のメンバーは
細野晴臣
三上敏視
高遠彩子
雲龍
皆川厚一
鳥居誠
浜口茂外谷
といった布陣。今までは即興演奏主体だったそうですが、今年は「feat.MICA BOX 」となっている通り、MICA BOXこと三上敏視*2の曲を演奏するという趣向でした。豪華メンバーを従えるかたちになった三上氏、やはり緊張していたとみえてメンバー紹介のとき自分のことを「今回バンマスということになりまして・・・」と言っていたのに、ハリーを紹介する段になると「えー、皆さんお目当ての、バンマス、細野さんです」と話したのはご愛嬌でした。


さて、演奏の方はチャンプルー・サウンドの現在形というべきものでした。エレクトロニクスにバリの民族楽器とパーカッションが絡み、雲龍が奏でる澄んだ笛の音が舞います。そして高遠彩子のハイトーン・ヴォイスが邦楽っぽい不思議な旋律を響かせました。三上氏はかつて全国の神楽を聴き回り、研究したことがあるそうで曲もその感覚が色濃くでています。そのため私達が耳にしたのは、そこに「和」を感じさせるものでありながら、同時に様々な音楽性を感じさせる、環太平洋モンゴロイド・ユニットの名にふさわしい、浮遊感あふれる音楽でした。


演奏が終わると続いて火入れ式。鎌田氏が高らかにほら貝を吹き鳴らし、中央の木組みに火が入りました。すっかり闇に包まれた御神田に炎が映えるのが美しかったです。この後ダンス・パフォーマンスや銀鏡神楽が予定されていたのですが、電車の都合上、残念ながらここで神社を後にせざるを得ませんでした。来年はじっくり泊りがけで行かなきゃだめだなあ。

*1:学生のころ一般教養でこの人の講義を受けたことがあります。ナウシカなどもとびだす、ユニークで興味深い内容でした

*2:デイジー・ワールドからアルバムが出る予定とのこと。また、デイジーから出ているオムニバス・アルバム「Strange Flowers Vol.1」で「HINEMOSU」という曲が聴けます