メアリー・ルー・ウィリアムス『アンデスの黒いキリスト』
- アーティスト: メアリー・ルー・ウィリアムス,ザ・レイ・チャールズ・シンガーズ,バッド・ジョンソン,ベン・タッカー,セオドア・クロムウェル,パーシー・ヒース,グラント・グリーン,パーシー・ブライス,ジョージ・チャンブル,ティム・ケネディ,ラリー・ゲイルズ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2006/09/27
- メディア: CD
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そんな彼女が64年にリリースしたこのアルバムは中世の聖者マルチノ・デ・ポレスに捧げられたアルバム。通常のジャズ・ピアニストのアルバムとはかなり異なる荘厳な雰囲気を湛えています。2曲にグラント・グリーンが参加しているのが目をひきますが、アルバムの主役はレイ・チャールズ・シンガーズとジョージ・ゴードン・シンガーズの2組のコーラス・グループ。ジャズ・コーラスの洗練とゴスペル・クワイアの迫力が程よくブレンドされた歌唱がアルバム全体のトーンを決定づけています。メアリーのピアノは派手さはないものの、独特の黒い粘り気がある演奏。コーラス抜きのピアノ・トリオ編成で奏でられるガーシュイン・ナンバー「イット・エイント・ネセサリリー・ソー」でそんな彼女の持ち味が味わえます。また、冒頭のタイトル・ナンバーでは曲の開始直後からずっと無伴奏でコーラスが歌っているのですが、4分経ったときに切り込んでくるメアリーのピアノが、短いながらもはっとするような美しさ。特に複雑なフレーズではないのですが、並々ならぬセンスを感じさせてくれます。
モダン・ジャズの枠を越え、サン・ラーにも影響を与え、70年代にはセシル・テイラーとデュオ・コンサートを開いたというメアリー・ルー・ウィリアムス。これはもっと聴いてみなくてはなりませんね。