ホッピー神山『もしもし、ピアノが弾けますよ』

もしもし、ピアノが弾けますよ

もしもし、ピアノが弾けますよ

最近ではソフト・マシーンのエルトン・ディーンとヒュー・ホッパーとのセッションを記録した『ソフト・マウンテン』*1のリリースが記憶に新しいホッピー神山。新作はピアノ・ソロ、しかも完全即興一発録りの作品となりました*2
幅広い音楽性を持つ人だけにどんな感じになるのか聴く前は全く予測がつきませんでしたが、これは彼の音楽のスケールの大きさがダイレクトに伝わってくる聴き応えのあるアルバムとなりました。迫力のある低音部と輝かしい音色を持つ高音部がときにはぶつかりあい、ときにはとけあい、あるいは各々が自由に駆け回ったりと、スピード感あふれる音の粒子が縦横無尽に飛び交っている様が目に浮かぶよう。現代音楽〜フリー・ジャズに通じるテンションをビシビシと感じさせる場面もあれば、デューク・エリントンばりに低音が唸りをあげて豪快にスイングしていく瞬間もしばしば現れるのですが、決して押し一辺倒ではなく、要所要所で硬質なリリシズムを湛えた美しい響きが登場するのが心憎い。まるでピアノという名のジェット・コースターに乗って変幻自在でスリル満点のサウンド・アトラクションを体験しているかのような気持ちにさせてくれるユニークな音楽です。

*1:録音は2003年でしたが昨年ようやく陽の目をみました

*2:曲によってはシンセやムーグも弾いていますが