デューク・エリントン「アフロ・ユーラシアン・エクリプス」(ASIN:B000000YUO)

アフロユーラシアン


録音が1971年だから、この巨匠のキャリアの中でも晩年といっていい時期の作品なのですが、そんなことを微塵も感じさせないアグレッシヴな作品。いきなりマクルーハン理論を語るエリントンのしゃべりから始まるので、最初は少々面食らいました。冒頭3曲の曲名は「Chinoiserie」「Didjeridoo」「Afrique」。これを見ると世界の音楽に挑戦したように思えます。しかし、素材を生で使わず、自分流に消化してから作曲するのがエリントン流。ここから聴こえるのはやっぱり、唯一無二のエリントン・ミュージックです。なんといっても耳をひくのは「Didjeridoo」と「Afrique」で、前者はエイト・ビートのジャズ・ロック的ナンバー。力強いビートの上に、叩きつけるようなピアノをかぶせるイントロからもうたまりません。このピアノの響きの新鮮さといったら・・・。後者もまたビートに工夫を凝らしており、限りなくアフリカン・ビートに接近した、少しマックス・ローチを思わせるリズムに心躍ります。もちろん、ホーン・セクションの黒光りするアンサンブルも魅力充分。クラブに行ったことがない私が書いても全然説得力がありませんが(笑)、フロアで流れても充分いけるんじゃないですか。「ニューオリンズ組曲」とならんで晩年のエリントンを代表する作品だと思います。