岩崎琢『神様のメモ帳O.S.T.』『ベン・トーO.S.T.』

TVアニメ 神様のメモ帳 オリジナルサウンドトラック

ＴＶアニメ「ベン・トー」サウンドトラック

去年私が“発見”して熱心に聴いていたのがアニメの音楽を中心に活動している作曲家、岩崎琢です。もう１０年以上のキャリアをもつ方なので、単に私のアンテナの感度が低かっただけなのですが(^^;)。ありきたりのアニメの伴奏音楽とは別の作品をつくる、という姿勢がどのサントラからも伝わってきてとても刺激的なのですね。とても多作な方で、昨年だけでも『黒執事2』・『Ｃ』・『刀語』など多数のサントラを発表しているのですが、特に私が気に入ったのが今回取り上げた２作品でした。

『神様のメモ帳』ではしっとりとしたストリングスやピアノによる音楽とジャジーなラップ・チューンが中心で、エレクトロニカの要素も若干加わっています。華やかなアレンジも出来るところをあえてやや暗めのトーンで統一することで、アンビエントな感覚も併せもった内容になりました。夜に耳傾けるのにふさわしい仕上がりの一品。
一方、『ベン・トー』ではストリングスを封印して、サックス・アンサンブルが中心になっています。そんな中突然響き渡る、謎の民族音楽テイストの曲などにもニヤリとさせられますが、何よりも目玉といえるのが戦闘シーンの音楽における今堀恒雄と吉田達也の起用でしょう。荒ぶる今堀のギターと激しい吉田のドラムスとシャウトは７０年代キング・クリムゾンを彷彿とさせる迫力です。エレクトリック・ファンクの「I gotta turn it on」もかっこよく、「静」の『メモ帳』に対してまさに「動」的な作品となりました。

過去にはオンドマルトノを大フィーチャーした音楽を作ったこともある彼が、アニメ音楽という枠の中で、今後どのような刺激的な音楽を生み出していくか、これからも注目していきたいと思っています。

[神様のメモ帳] 01 - Teddy