鈴木慶一『TV ANIMATION NO.6 ORIGINAL SOUNDTRACK 1』

TV ANIMATION NO.6 ORIGINAL SOUNDTRACK

TV ANIMATION NO.6 ORIGINAL SOUNDTRACK

今年は超ハイペースで様々な作品を発表し続ける鈴木慶一。ソロにプロデュース作品にビートニクスと矢継ぎ早に繰り出されるので、あまりこのサントラについては語られていないような気がします。
このアルバムはノイタミナ枠で放映されたアニメのサントラで、おそらく慶一が単独名義でアニメの音楽を手がけたのは初めてではないでしょうか。「東京ゴッドファーザーズ」や「Dororonえん魔くんメ〜ラめら」ではムーンライダーズの各メンバーにキャラクターやシーン毎に担当を割り振るシステムを採用していましたが、今度のサントラにはキャラクターのテーマのような曲は含まれていません。武川雅寛が参加していますがライダーズのメンバーとしてではなく、あくまでヴァイオリンのプレイヤーとしてクレジットされています。
音楽の内容はエレクトロニクスとアコースティック楽器を巧みに配分した、慶一流のエッジが立ったエレクトロニカ。前半は棚谷祐一のピアノが光ります。中盤から後半にかけて「MOTHER」を彷彿とさせるようなキャッチーなメロディーの曲が続くところが聴きどころですね。冒頭に置かれたLAMA作曲のヴォーカル・ナンバー「Spell」がどことなく「MOTHER」ムーンライダーズ的雰囲気をもっているのも面白い。
慶一自身の言葉によるとこのサントラは「私の映画音楽やゲーム音楽へのアプローチの集大成的なるもの」ということですが、いやいやまだまだ開けていない音楽の引き出しはたっぷり残っているでしょう。これは後日出る第2弾を聴けば納得できるかな。ともあれ鈴木慶一ファンならやはり“買い”の一枚であります。