ヴァン・モリソン「イントゥ・ザ・ミュージック」

Into Music

Into Music

Into The Music―こんなタイトルがはまる人もそういない。目を閉じて音楽に没入するヴァン・モリソン、79年の作品。この時期の彼は様々な悩みを抱えていたということですが、ここで聴かれる音は力強く、躍動感に富み、かつ流麗。ライ・クーダーのスライド・ギター、華やかな女声コーラス、軽快なホーン・セクションなどなど、全てがヴァンのヴォーカルと有機的に絡んでめくるめくカレドニア・ソウルの世界を形成しています。ヴァンのアルバムの中でも聴きやすい方だと思いますが、内容の濃さは「ムーンダンス」などの代表作に決してひけを取るものではありません。ずっしりとしていながら弾むリズムが巨象のダンスを思わせる、ケルト色濃い「ローリング・ヒルズ」やピアノによる滑らかなリフが印象的な「ユー・メイク・ミー・ソー・フリー」など曲も粒揃いです。
この路線でもう2,3枚続けても良いと思うのですが、翌80年の「コモン・ワン」*1でヴァンは再び魂の旅に出るのでありました。

*1:15分の曲が2曲もある異色作。だけどこのミステリアスなアルバムも私は好きです。