ジョン・レンボーン「隠者」(asin:B000BP8BH8)

隠者

バート・ヤンシュと並ぶペンタングルの両雄の一人、ジョン・レンボーンのソロ6作目で1976年に発表されています。
ペンタングル解散後、しばしの沈黙を経て出された作品で、アルバムタイトルは当時のレンボーンがサウス・デヴォンに引きこもって過ごしていたことからつけられました。
内容はレンボーンの繊細なアコースティック・ギターが心ゆくまで味わえる、滋味豊かな逸品。「ファローズ・ラグ」のような陽気な曲も彼の手にかかると、良い意味で端正な仕上がりになるのです。アルバムのハイライトは、アイルランド最後の吟唱詩人といわれている、盲目のハープ奏者ターロック・オキャロランの作品をメドレーで演奏した「スリー・ピーシズ・バイ・オキャロラン」。これまで専らイングランドの民謡、古楽を掘り下げていたレンボーンがケルト音楽に挑んだ注目作です。ここでの試みは後年、ペンタングル時代から追求していたインド音楽の要素が融合されて、ジョン・レンボーン・グループとして結実していくのですが、その意味からも聴き逃せない重要作といえるでしょう。