JOHN ZORN’S COBRA TOKYO OPERATION '94 東京作戦●吉凶部隊

竹内まりやの新譜を買うつもりだったのに、なぜかこっちを購入。まあ、まりやの方は店頭からすぐなくなるとは思えないけど、これは今見逃したら、次はいつお目にかかるかわからないもんね・・・とはいえかなりバクチでした、これを買うのは。かつては高円寺に住んでいたこともあるサックス奏者かつ作曲家、ジョン・ゾーンの作曲(発明)した即興演奏システム「コブラ」の邦人演奏家による録音です。「コブラ」のルールをざっと説明すると、
1)プロンプターを中心に、10人程の演奏家が半円状にならぶ
2)楽器はなんでもよい
3)演奏家は身振りでプロンプターに合図を出す
4)プロンプターはそれをうけてあらかじめ用意されている19枚のカードからどれかを提示して演奏スタート
5)基本的にプロンプターの指示と演奏家の合図のやりとりで演奏は進行していくが、たまに「ゲリラ」が出現。プロンプターの指示に従わず、勝手に他の演奏家に指示を出したり演奏を終了させたりする
6)ゲリラは他の演奏家の合図により「抹殺」されたり「自殺」することもある
なんだか物騒な言葉が出てきましたが、それもそのはず「コブラ」の名前の由来はノルマンディー上陸作戦のシミュレーション・ゲームからとられているんですね。こうして統一と混乱をいったりきたりしながら演奏が進んでいくのです。


さて、楽器の編成はなんでもいいこの「コブラ」ですが、このディスクはかなり異色の編成です。メンバーは以下の通り。

一噌 幸弘 (能管、田楽笛)
植村 昌弘 (打楽器)
内橋 和久 (ギター)
木下 伸市 (三味線)
仙波 清彦 (打楽器)
竹井 誠 (尺八)
田中 悠美子 (義太夫)
中村 仁美 (篳篥)
丸田 美紀 (筝)
メッケン (ベース)
山本 京子 (ヴォーカル)
伊藤 妙子 (モンゴル民謡(オルディン・ドー))
巻上 公一 (プロンプター)

あまり内容を理解する参考にならないのですが(笑)、曲名は1.先勝 2.友引 3.先負 4.仏滅 5.大安 6.赤口
一体どんな音がこれで鳴り響くのか聴く前はまるで想像できませんが、聴いてみるとある程度フリージャズに耐性のある人ならばっちり大丈夫です。邦楽器のアンサンブルの直後にフリーキーなギターがうなり、そこにアヴァンギャルドなヴォーカルとモンゴルのうなり声と義太夫のふしまわしが重なってきたりという摩訶不思議なアンサンブルなのですが、メンバーが腕達者ぞろいのせいか、ちゃんと楽しめるんですね。静と動の対比を強調して劇的な効果を高めたり、どことなくユーモラスなところがあったりと、意外にエンターテイメントしている(?)なあ、なんて思っちゃいました。流石に誰にでもお勧めすることはできませんが、モンドなサウンドが好きなら、はまっちゃうかもしれませんよ。


このコブラ・東京作戦、調べてみたら毎年顔ぶれは変わりながらも、巻上 公一を中心に行われているようです。今年も実施されるそうですよ。

http://www.makigami.com/cobra.html