王より飛車を可愛がる日記(10)

将棋の醍醐味のひとつに激しい終盤戦があります。お互いに敵玉に肉迫し「ここは攻めても大丈夫か?いや、受けるべきか?」と持ち時間を気にしながら苦しんで指し続ける。そして相手の攻めをギリギリのところでかわし、決断の攻めが見事勝ちにつながったときの嬉しさは格別です。今回取り上げるのはそんな一局でした。将棋倶楽部24のレーティング対局です。
私が後手番となり、相手が角筋を止めてきたので例によって例のごとく(^^;)右四間飛車を選択。相手はここで穴熊にしてきました(図1)。

ここでこちらも穴熊にするという選択もありましたが、私はここで戦いを起こすことを選択。激しい中盤戦となりました(図2)。

守りの金を1枚はがしたものの、飛車の活用を封じられ、相手の攻め駒が3枚迫ってきてやや苦しいところです。その後馬を進入させ、と金攻めを狙ったところで相手の猛攻が始まりました。たちまちこちらの囲いは崩壊。ピンチです(図3)。

危険きわまりない状況ですが、相手の持ち駒が金1枚と歩だけなのでまだ大丈夫と判断・・・いや、そう願っていました(^^;)。とにかく反撃しなくてはならないのですが、なにせ相手は穴熊。地道にひたひたと攻め駒を寄せていくしかありません。と金を寄せるときは正に「決断の一手」でした。その間にやられたらもう仕方が無い、と半分開き直っていましたね。そして、綱渡りのような状況が続く中、ようやく光明が見えてきたのです(図4)。

馬を手放した代償として金4枚を手中にして、ようやく相手玉が見える状況に持ち込みました。そして、こちらの玉はこの瞬間は奇跡的に安全なのです。ぽつんと取り残されたかに見える4二銀が相手の角打ちを防いでいます。そして相手玉といえば「金無し将棋に受け手なし」の状態。止むを得ず銀でと金を払いましたが、すかさず桂馬を打ち込んで詰ませました(投了図)。スリリングな一局でした!

先手:tさん
後手:風来坊

▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6四歩 ▲6八飛 △6二飛
▲7八銀 △7二銀 ▲6七銀 △6三銀 ▲7七角 △5四銀
▲5六歩 △4二玉 ▲4八玉 △5二金右 ▲3八玉 △3二玉
▲2八玉 △1四歩 ▲1八香 △4二金寄 ▲1九玉 △9四歩
▲2八銀 △9三桂 ▲9六歩 △8五桂 ▲8八角 △6五歩
▲8六歩 △6六歩 ▲同 角 △同 角 ▲同 銀 △6五歩
▲7五銀 △3三角 ▲6三歩 △同 飛 ▲7二角 △6二飛
▲8三角成 △9九角成 ▲7三馬 △9二飛 ▲8五歩 △8九馬
▲5五歩 △6七香 ▲5四歩 △同 歩 ▲5八飛 △6九香成
▲5四飛 △5三歩 ▲8四飛 △6七馬 ▲5八銀 △7六馬
▲6四銀 △6六桂 ▲6九銀 △4九馬 ▲3九香 △5八桂成
▲同 銀 △同 馬 ▲4五桂 △5七馬 ▲5三桂成 △4八銀
▲4二成桂 △同 銀 ▲3八金 △5八歩 ▲8一飛成 △5九歩成
▲4八金 △同 馬 ▲4一龍 △3三玉 ▲4五桂 △4四玉
▲5五銀打 △3五玉 ▲3六歩 △2四玉 ▲2一龍 △4九と
▲1一龍 △3九と ▲1六桂 △1五玉 ▲2六金 △同 馬
▲同 歩 △3八金 ▲3九銀 △2七桂
まで100手で後手の勝ち