王より飛車を可愛がる日記(1)

私が指した迷局を折に触れ掲載する新企画です。私が好調なら掲載頻度が増えます(^^;)。
記念すべき第一局目は、昨日yahooで指したものから。将棋には“カニカニ銀”という変わった名前の戦法がありますが、その戦法を採用した一局です。“カニカニ銀”とは2枚銀を繰り出した陣形をカニの鋏に見立てて名づけられたもので、創始者の児玉七段はこの戦法で升田幸三賞を受賞しました。居玉のまま玉を囲わず、とにかく攻めまくるというのが特徴で、うまく決れば破壊力は絶大なのですが、一旦受けにまわってしまうとハイ、それまでよというリスクも高い戦法であります。その優秀性は認められながらもプロ間では創始者の児玉七段以外あまり指されないのはそのせいでしょう。しかし、意外なことに“鉄壁の受け”が持ち味の森内九段も採用したことがあるのが面白い。
序盤はこういう展開になりました。私の方はカニカニ銀がほぼ完成(図から左の桂馬を跳ねた形が基本形です)。

ここからは中央突破を狙ってひたすら攻めていくしかありません。当然相手もやられっぱなしのわけはなく、殴り合いとなって下図へ。相手の金を龍で取って守りを薄くさせた代償に、その龍を飛車で奪い返されて手順に王手がかかり、歩で受けた局面です。

さらに戦いは激化。わずかに優勢だったのですが、こちらの玉も薄い。左右から厳しく迫られます。

ここをギリギリしのいでなんとか勝利。スリリングな一局でした。