第49期王位戦 深浦康市王位対羽生善治名人 第5局

将棋の必勝法はまだ誰も見出していないわけですが、もしそれに近いものを挙げろといわれたら「羽生の居飛車穴熊」が筆頭に挙げられるかもしれません。勝又清和著「最新戦法の話」によると、06年の時点で羽生の居飛車穴熊の成績は57勝6敗。勝率9割4厘というのですから驚きという他ありませんね。これほどの勝率を誇っていながらも、居飛車穴熊一辺倒ではなく様々な戦法を駆使して戦っているところが羽生の真に凄いところなのですが、カド番に追い込まれたこの重要な一局で、ついに羽生が居飛車穴熊に組みました。相矢倉の出だしから組み替えていったのですが、王位奪回への並々ならぬ決意を感じないでしょうか?果たしてこれまで苦戦していた深浦王位相手に完勝です。まだ厳しい状況にあることには変わりはありませんが、タイトルの行方、にわかに風雲急をつげてきました。後手番で迎える第6局、見逃せません。