名人戦第4局2日目:森内名人対羽生二冠

激しい勝負になると思いきや、一転して延々睨みあっているような長い中盤戦となった2日目。それでいて一端局面が動き出したらあっという間に羽生二冠が寄せきってしまったという印象です。それにしても毎回消耗戦になりますね、この2人は。

昨日は将棋会館大盤解説会に行って来ました。解説が藤井九段で聞き手が本田女流二段。やや遅れて会場入りしたときはまだ序盤の解説だったのですが、いよいよ中盤にさしかかろうとしたところで、
藤井九段(以下藤井)「できればここからは解説なしで、ただ手だけを進めていきたいんですが(苦笑)」
本田女流二段(以下本田)「だめですよ。皆さんお金を払って来てくださっているんですから」
といったやりとりがあったほど難解な中盤戦でした。

藤井のやや自虐的なギャグを織り交ぜての解説はたいへん楽しかったです。ウロ覚えの記憶を頼りに印象に残っている部分を書いておきます。メモを取ってないので、実際と異なる部分が多いと思いますが、ご了承ください。「こんな感じのことを話してた」という感覚で読んでくださいね。

・(2日目の夕食休憩の是非について)「私は意見を聞かれたとき、2日目の夕食休憩はいらないと言ったんですよ。お腹がすいたらカロリーメイトでも食べればいいじゃないですか」なんという自虐ネタ(笑)*1

・(森内名人が8二に打った飛車を7三に進めたところの局面で)「これは多分お昼休みのとき、「ア、ヤベーこっちに打てばよかった」と思ったのかもしれませんよ。よくあるんです。こういうこと」

・「相手が底歩を打ったらワザと歩を取らせて、二歩を狙う、というのもあるんですよ(笑)。私は自分が底歩を打ったとき、駒台に歩があったらちょっと端の方によけといて、二歩注意!のサインを自分に出すんです」

・藤井「森内名人は20代の頃、わざと一分将棋にしていたことがよくあったんです。羽生さんや佐藤(康)さんに秒読みでも負けない、と意地をはってたらしいんです。よくわかんない関係ですよね〜、あの3人は。やっぱり3人ともお互いをとても意識してますからね」
本田「藤井先生もなにか3人と張り合えるものはありませんか」
藤井「え、私?そうですね・・・視力なら3人に負けません。眼鏡してませんからね」

・(終局近い局面で)「羽生さん、森内さん、佐藤(康)さん、そして谷川さんは投げるときはハッキリと「負けました」といいますね。ちゃんといえる人は強いんですよ。私なんて、悔しくてハッキリと云えないんです。こう(駒台に手を置くポーズをして)、ムニャムニャと・・・。または、こんな(駒を盤面に投げるポーズ*2感じで・・・。一度対戦相手に「投了したんですよね」と確認されたことがあります(笑)」

藤井先生、またいつかタイトル戦の檜舞台にあがってくださいね!

*1:前期A級順位戦最終局、藤井vs丸山戦は深夜、丸山優位で迎えた局面で丸山がおもむろにカロリーメイトを食べ始めた。モグモグと食べている間に藤井投了。その様子はBSの中継で映されニコニコ動画のネタになるほど話題になった

*2:かつて羽生二冠に大逆転負けを喫したときに実際にやったことがある