4月に読んだ本まとめ
2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4625ページ
ナイス数:2ナイス
久生十蘭ジュラネスク---珠玉傑作集 (河出文庫)
読了日:4月30日 著者:久生 十蘭
ロック・ミーツ・アート―ヒプノシス〈ストーム・トーガソン〉+ロジャー・ディーン+キーフ (CDジャーナルムック―ストレンジ・デイズ・コンパイル・シリーズ)
読了日:4月28日 著者:
憲法九条の軍事戦略 (平凡社新書)
読了日:4月26日 著者:松竹伸幸
死の泉 (ハヤカワ文庫JA)
読了日:4月21日 著者:皆川 博子
木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)
読了日:4月20日 著者:チェスタトン
十二神将変 (河出文庫)
読了日:4月18日 著者:塚本 邦雄
快楽としてのミステリー (ちくま文庫)
読了日:4月17日 著者:丸谷 才一
殺しの時間-乱視読者のミステリ散歩
読了日:4月17日 著者:若島 正
殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ)
読了日:4月17日 著者:高山 宏
殺す・集める・読む―推理小説特殊講義 (創元ライブラリ)の感想
ミステリについての読書会に参加するので再読。先日読了した「資本主義という謎」と通底しているところが多くて驚いた。
読了日:4月17日 著者:高山 宏
資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
読了日:4月16日 著者:水野 和夫,大澤 真幸
ブラック・ジャック創作秘話(3)手筭治虫の仕事場から (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)
読了日:4月16日 著者:宮崎 克,吉本浩二
オペラをつくる (岩波新書)
読了日:4月11日 著者:武満 徹,大江 健三郎
ミュシャART BOX 波乱の生涯と芸術 (講談社ARTピース)
読了日:4月11日 著者:
楽聖少女3 (電撃文庫)の感想
フィデリオを題材に使うとはしぶい。
読了日:4月10日 著者:杉井光
読書メーター
ダニエル・ドレズナー『ゾンビ襲来 国際政治理論で、その日に備える』
- 作者: ダニエルドレズナー,谷口功一,山田高敬
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2012/10/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 3人 クリック: 455回
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おもしろマジメユーモアも多い点もこの本の長所。個人的にはこれまでの国際政治理論はゾンビ問題の学問的好奇心が欠乏していたことを指摘し、国際関係論の研究者や政策立案者などは、等しくゾンビの餌食となるに違いない」と指摘したくだりが特に面白かったです。
古典の書き手はリビング・デッドによって提起される問題を十分に意識していた。孫子はその『兵法』で「死地(death ground)に臨んだ際の戦いの重要性について強調しているが、これは明らかに不死者(undead)による切迫した脅威を予見している。(中略)トマス・ホッブスが自然状態を「絶え間ない恐怖と暴力的な死への危険に晒され、そこでの人間の生は、孤独で貧しく、汚らしく残忍で、そして、短い」と書き記した時、ゾンビは彼の心の中か、あるいは彼の家のドアの外にいた。(第2章 これまでのゾンビ研究より引用)
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2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4252ページ
ナイス数:7ナイス
ビッグコミック×藤子・F・不二雄SF短編集 下巻 (ビッグコミックススペシャル)
読了日:1月25日 著者:藤子 不二雄F
ビッグコミック×藤子・F・不二雄SF短編集 上巻 (ビッグコミックススペシャル)
読了日:1月25日 著者:藤子 不二雄F
音楽を迎えにゆく
読了日:1月25日 著者:湯浅 学
銀の匙 Silver Spoon 6 (少年サンデーコミックス)
読了日:1月24日 著者:荒川 弘
ブラック・ジャック創作(秘)話~手塚治虫の仕事場から~ 2 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)
読了日:1月24日 著者:吉本 浩二
音楽のアマチュア
読了日:1月20日 著者:四方田 犬彦
身ぶりとしての抵抗 ---鶴見俊輔コレクション2 (河出文庫)
読了日:1月20日 著者:鶴見 俊輔
海賊のジレンマ ──ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったかの感想
面白かった。原著は2008年に発行されものだけど、日本ではこの時期(2012年)に出てよかったのでは。3.11後の社会の在り方を考えるのにも役立つ。もちろん、ヒップホップなどの音楽論としても楽しく読める。
読了日:1月14日 著者:マット・メイソン
楽聖少女2 (電撃文庫)
読了日:1月12日 著者:杉井 光
楽聖少女 (電撃文庫)の感想
久々のラノベ読書。語り手がゲーテでヒロインがベートーヴェンとは。ファウストを物語全体の枠組みにしたりと結構凝ったつくりです。ラノベ的要素は無い方がすっきりしたと思うけど仕方がないのでしょう。作者がクラシック好きということはストレートに伝わってきて好感が持てました。
読了日:1月11日 著者:杉井 光
解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
ミステリーというより青春恋愛小説だけど、面白かった。暗い出来事ばかり起こるのに、読んでいて陰鬱にならず、読後感は爽やかですらあるのが良かったですね。
読了日:1月11日 著者:スティーヴ・ハミルトン
ピアニストが見たピアニストの感想
再読。発見が多かった。
読了日:1月3日 著者:青柳 いづみこ
安徳天皇漂海記 (中公文庫)の感想
2013年初読書。カルヴィーノ「見えない都市」と澁澤龍彦「高丘親王航海記」に捧げられた歴史幻想絵巻。小林秀雄と太宰治へも軽く目くばせしているのも心憎い技ですね。
読了日:1月2日 著者:宇月原 晴明
読書メーター
非常階段 starring 初音ミク『初音階段』
- アーティスト: 非常階段 starring 初音ミク
- 出版社/メーカー: インディーズレーベル
- 発売日: 2013/01/16
- メディア: CD
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この非常階段とのコラボもそうした越境プロジェクトといえるでしょう。おそらく水面下では多くのP達によって同様の試みがなされていたのではないかと推測しますが、ついにノイズ・ミュージックの分野にまで進出してきたのかと、リリース情報を聞いたときは驚きを禁じ得ませんでした。
収録曲は全4曲。まずPVも制作された緑魔子のカヴァー「やさしいにっぽん人」に耳を奪われました。不穏な空気をたたえたバックにミク特有の非人情なヴォーカルが重なり、時折鋭いノイズが噴出。World's end Girlfriendにも通じるところのある、耽美的かつ緊張感のある世界が広がっているのです。続くじゃがたらのカヴァー「タンゴ」もゆらめくようなミクのヴォーカルとノイズの対比が印象的です。
ここまでは初音ミクの方に力点がおかれた楽曲でしたが、3曲目の「不完全な絵画」は両者のバランスが取れた仕上がり。ノイズを背景に淡々とした調子のミクの朗読が重なる様は、本作の中でもっともコラボレーションと呼ぶにぴったりな楽曲といえるのではないでしょうか。
そして最後の「hatsune-kaidan」は完全に非常階段がミクを飲み込んだ、奔流のようなノイズ・チューン。ミクのヴォイスもここでは完全にノイズの一部と化し、まるでオノ・ヨーコのよう(笑)。
このように、収録時間約34分の中で初音ミクが徐々にノイズ化していくドラマを味わえる構成が本作の妙といえるでしょう。私にとっては毎日愛聴するような音楽ではないのですが、この先きっと、ふとした瞬間に無性にこの音を欲することがあるのではという予感がしています。
12月に読んだ本
2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2146ページ
ナイス数:7ナイス
至高の日本ジャズ全史 (集英社新書)
読了日:12月19日 著者:相倉 久人
国の死に方 (新潮新書)
読了日:12月19日 著者:片山 杜秀
皇帝の新しい服 (講談社ノベルス)
読了日:12月15日 著者:石崎 幸二
3月のライオン 8 (ジェッツコミックス)
読了日:12月14日 著者:羽海野 チカ
ペーパーバック版 スティーブ・ジョブズ 2
読了日:12月14日 著者:ウォルター・アイザックソン
ペーパーバック版 スティーブ・ジョブズ 1
読了日:12月9日 著者:ウォルター・アイザックソン
シャッター商店街と線量計 大友良英のノイズ原論
読了日:12月6日 著者:大友良英,高橋源一郎,開沼博,もんじゅ君
読書メーター
2012年ベスト・アルバム
すっかり新譜を聴く機会が減ってしまいましたが、今年、特に心に残ったアルバムを順不同に挙げていきます。
- アーティスト: Paul Buchanan
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2012/05/29
- メディア: CD
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OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(初回限定盤)
- アーティスト: 山下達郎
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2012/09/26
- メディア: CD
- 購入: 25人 クリック: 300回
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- アーティスト: アントニオ・ロウレイロ
- 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
- 発売日: 2012/11/28
- メディア: CD
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- アーティスト: エレーナ・ブルケ,オマーラ・ポルトゥオンド,ボラ・デ・ニエベ,ナット・キング・コール,Various Artists
- 出版社/メーカー: エル・スール・レコーズ
- 発売日: 2012/07/22
- メディア: CD
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- アーティスト: GORO ITO
- 出版社/メーカー: SPIRAL RECORDS
- 発売日: 2012/04/25
- メディア: CD
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- アーティスト: オネイラ
- 出版社/メーカー: オルターポップ
- 発売日: 2012/02/26
- メディア: CD
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- アーティスト: 坂本龍一
- 出版社/メーカー: commmons
- 発売日: 2012/10/17
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- アーティスト: 新居昭乃,クリス・モスデル,YUJI ONIKI,保刈久明,ラスマス・フェイバー
- 出版社/メーカー: flying DOG
- 発売日: 2012/04/25
- メディア: CD
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- アーティスト: CARLOS NINO & FRIENDS
- 出版社/メーカー: SOUP-DISK/DISQUES CORDE
- 発売日: 2012/03/07
- メディア: CD
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NO NUKES JAZZ ORCHESTRA (ノー・ニュークス・ジャズ・オーケストラ)
- アーティスト: NO NUKES JAZZ ORCHESTRA(ノー・ニュークス・ジャズ・オーケストラ)
- 出版社/メーカー: SONG X JAZZ Inc,.
- 発売日: 2012/08/11
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丸谷才一『思考のレッスン』
- 作者: 丸谷才一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/10/10
- メディア: 文庫
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まずレッスン1「思考の型の形成史」では十代の丸谷少年が不思議に思っていた二つの謎が語られます。それは「なぜ日本はこういう愚劣な戦争を始めてしまったのか」と「日本の小説はなぜこんなに景気が悪いことばかり扱うんだろう」ということなのですが、これはそのまま後年の作家・丸谷才一の小説の根底に流れる主題なんですね。「戦争」の謎については『笹まくら』、「景気」については『たった一人の反乱』がそのひとつの答えとなるでしょう。もちろん『裏声で歌え君が代』や『女ざかり』などにもそれらのモチーフは受け継がれているのです。
レッスン2「私の考え方を励ましてくれた三人」では、中村真一郎、バフチン、山崎正和が丸谷さんに与えた影響について語られます。その三人の前に吉田健一についても触れているのがうれしいところ。
レッスン3からいよいよ「思考のレッスン」が始まります。まずは「思考の準備」としてまず本を読むことの大切さが語られます。「本の読み方の最大のコツは、その本をおもしろがること、その快楽をエネルギーにして進むこと。これですね」とした上で読書の効用として「情報を得られるということ」「考え方を学ぶことができる」「書き方を学ぶ」の三つをあげています。最後の効用は「文章読本」に通じる考え方ですね。「本を読んでおもしろいと思ったら、それがどのような書き方をされているから感銘を受けたのかを考える。これも大事ですね」
そして、ではどんな本を選べばよいのかなどの話の後に、自分のホーム・グラウンドを持つことの大切さが語られます。国文学者の大野晋なら古代日本語の音韻、吉田健一はヴァレリーとシェイクスピア、石川淳なら江戸とフランス文学などですね。
そして「たとえば夏目漱石は何だろう?なんと言ったって、大事なのはイギリス十八世紀小説に決まっている。だって、あれだけがんばって勉強したんだもの。彼の小説はそこから生まれてきたんです。ところが、みんなその問題を抜きにして漱石のことを論じてきた。(中略)でも一番大事なのは、イギリス十八世紀小説。および十九世紀のジェイン・オースティンですよ。それははっきりしている」と興味深い意見が述べられます。丸谷さんの漱石論は『闊歩する漱石』にまとめられていますので、詳しくはそちらをどうぞ。
さて、以下は駆け足でいきます。
レッスン4から実践編です。レッスン4「本を読むコツ」では事典、辞書の活用のしかたや、「本はバラバラに破って読め」、索引を活用する「インデックス・リーディング」、年表・人物表をつくろう、などが語られます。このあたり、松岡正剛さんと共通するところもありますね。
ただし、自分で考えることもしないで「何か本はないか」というのはよくないとされます。
「なにかに逢着したとき、大事なのは、まず頭を動かすこと。ある程度の時間をかけて自分一人でじーっと考える。考えるに当って必要な本は、それまでにかなり読んでるはずです。」
では考えるにはどうすればよいのか?ということでレッスン5では「考えるコツ」が語られます。
考える上で大事なのはよい問を発すること。ではよい問とはなにか。第一は「自分自身の発した謎」であること。第二は「謎をいかにうまく育てるか」。謎を自分の心に銘記して、明確化・意識化することの大切さが説かれます。そして通説と違っても構わないと考える度胸がついたところで改めて「慌てて本を読んではならない」と注意されます。
「いままで生きて、読んで、かつ考えてきた。そのせいで一応手持ちのカードはあるんですよ。その手持ちのカードをもう一ぺん見ましょう」。そのうえで「比較と分析」や「大胆な仮説をたてる」という方法論が示されます。さらに大切なのは遊び心があること。「でも、これは当たり前ですよね。人間にとっての最高の遊びは、ものを考えることなんですから」
最後のレッスン6は「書き方のコツ」です。「とにかく、頭の中でワン・センテンスを完成させた上で、文字にせよ」と言うテーゼがまず述べられます。そこから続けて日本語の特性をよく考えることの重要さ、文末の問題、レトリックの大切さなどが語られていきます。
そしてこの書物は以下の文章で締めくくられます。言葉は平易ですが、単なる文章論を超えて、今の私たちが心に刻んでおくべき文章だと思います。
「言うべきことをわれわれは持たなければならない。言うべきことを持てば、言葉が湧き、文章が生まれる。工夫と習練によっては、それが名文になるかもしれません。でも、名文にはならなくたっていい。とにかく内容にあることを書きましょう。
そのためには、考えること。そう思うんですよ」