シェウン・クティ&エジプト80『ライズ』

From Africa With Fury: Rise

From Africa With Fury: Rise

秋も深まるとしんみりした音楽ばかり聴きがちになってしまいますが、そうなる前にこれを取り上げておかないといけません(^^;)。
既にあちこちで今年を代表する1枚と絶賛されている、シェウン・クティの2ndアルバムです。ようやく出た国内盤でライナーノーツを書いている松山晋也は、このアルバムがリリースされたとき、いちはやく「21世紀の『リメイン・イン・ライト』!」と激賞したのですが、このフレーズは今後しばらくこのアルバムが語られるとき引き合いに出されるように思います。
とにかく聴けばすぐわかるカッコよさに満ちている音楽なのですが、ブライアン・イーノとジョン・レイノルズによる共同プロデュースで制作された本作は、父であるフェラ・クティが生み出したアフロ・ビートを今に受け継ぎながらも、そこに新しい風を吹き込むことに見事に成功しています。イーノ特有の、生々しさの中に人工的な感触が微妙に混じった音の質感とクリアな音像が、この作品に現代的な感触を与えながらも、音楽全体のパワーをスポイルしていないことが素晴らしい。父親よりも迫力があるのではと感じさせるシェウンの太くて迫力のあるヴォーカルと女声コーラスのかけあい、疾走するビートに切り込むホーン・セクションがコンパクトにまとめられながらも、強力なエネルギーを発散しているのです。これぞ現在進行形のアフロ・ビート!