菅野よう子『アルジュナ2 オンナの港』

アルジュナ」サントラ2枚目。1枚目の「into the another world」が単なるサントラの域を超えた日本プログレ史上に残る傑作であることは既に何度か書きました。一方、この「オンナの港」はといえば、ミニ・アルバムという体裁や、ジャケット、タイトルから受ける印象から若干損をしていると思えなくもありません。しかし、先入観を取り払って耳を傾ければ、1曲ごとに何かしらの創意工夫が凝らされた作品となっていることがわかるはず。10曲目の「アスラ実体化」こそ前作の緊張感を孕んでいますが、それはむしろ例外で、基本的にはエレクトロニカ室内楽的な感触をもつ楽曲が並びます。スケール感やテンションの高さでは前作に一歩譲るものの、愛らしい小品集として充分聴くに堪えます。全体として、散漫なようでいながら、なんとなくまとまりがあるのが菅野サントラの特徴ですが、このアルバムもまたしかり。どういう感覚で曲順を決めているのか、一度聞いてみたいところであります。