ブライアン・イーノ・アンド・ザ・ワーズ・オブ・リック・ホランド『ドラムス・ビトウィーン・ザ・ベルズ』

ここ数年、ブライアン・イーノの動きが活発です。デヴィッド・バーンのコラボや、昨年リリースされた久しぶりのインスト・アルバム『スモール・クラフト・オン・ア・ミルク・シー』のリリースに加えて、シュワン・クティの素晴らしい2ndアルバムに代表されるような、プロデュース活動も精力的に行っているのですから。さらに一息つくひまもなく、早くも新しいプロジェクトがリリースされました。詩人のリック・ホランドの共作という形をとったポエトリー・リーディングのアルバムなのですが、これが、実に素晴らしい作品になっているのですから驚嘆せざるをえません。
もちろん、先に挙げたバーンとのコラボや『スモール・クラフト・オン・ア・ミルク・シー』だってとても聴き応えのあるアルバムでした。しかし、この傑作を聴いた後では全てがこのアルバムのための長い助走だったのではとさえ思えてしまいます。イーノ独自の音色感覚に貫かれたエレクトロニクス・サウンドアンビエントな空間構成。そこにポエトリー・リーディングが重ね合わさることで生まれる音響世界が聴く者に与えてくれる刺激とイマジネーションの豊かさといったら・・・!
このアルバムはイーノの近年の活動の集大成ともいえる充実作。いや、アンビエント・シリーズ以降のイーノの作品の中では群を抜く傑作といってもよいのではないでしょうか。