アルタン『with the RTE Concert Orchestra』

アルタン・ウィズ・RTEコンサート・オーケストラ

アルタン・ウィズ・RTEコンサート・オーケストラ

かつてほど熱心にケルト音楽を聴くことはありませんが、それでもいくつかのバンドやミュージシャンの存在は気になっていて、このアルタンもそのひとつ。このアルバムは50人編成のオーケストラであるRTEコンサート・オーケストラと全面的にコラボレートした野心作です。withオーケストラというのは、ややもすると徒に大仰なものになってしまうことも少なくありませんが、さすがに彼らはそんな愚かなことはしません。オーケストラ・アレンジにヴァン・モリスンやエルヴィス・コステロケイト・ブッシュポール・マッカートニーなど数々のミュージシャンにアレンジャーとして起用されてきた実績をもつ、フィアクラ・トレンチを起用することで、彼らの持ち味を殺すことなく、新たな華やかさを加えた音楽を生み出すことに成功したのでした。収録曲はどれも過去のレパートリーの再演なのですが、あたかも初めからこのようにアレンジされていたかのごとく、自然にバンドとオーケストラの響きが溶け合っているのは見事のひとこと。マレードの清廉なヴォーカルもいつもながら美しく、またひとつ長く聴き続けられるアルバムを手に入れた歓びに浸らせてくれるのです。