冨田勲『惑星 ULTIMATE EDITION』

惑星(プラネッツ) Ultimate Edition

惑星(プラネッツ) Ultimate Edition

音楽をやってるって言う意識が無いんですよ。実際に宇宙のどこかで起こっている事の実況中継というようなイメージで作ったんですけど。
2011.06.08 冨田勲DOMMUNE

冨田勲本人も登場したDOMMUNEで『惑星 ULTIMATE EDITION』の全曲が流れました。私は後半からしか聴くことができなかったのですが、VJとトミタ・サウンドのもたらす音空間に、おそらく初めてトミタ・サウンドに接したであろうと思われる若い観客から次々に絶賛の声があがるのを感慨深く眺めていました。放映中にアマゾンの在庫が無くなったというのですから、そのインパクトの程がうかがえますね。
元々冨田版「惑星」は1976年にリリースされたものです。既に名盤『月の光』などで名声を確立していた冨田ですが、この作品は全米クラシックチャート1位を獲得して、更なる飛躍をもたらしたのでした。
そんな彼の代表作が今年になって新たに「ULTIMATE EDITION」として登場したのですが、これが単なるリマスターや音源差し替えに留まらない、素晴らしいクオリティをもった作品になっていたことには正直、驚きを禁じえませんでした。新作と呼んでも差し支えない傑作だと思います。最大の注目ポイントは新曲「イトカワはやぶさ」が新たに加わったことでしょう。「木星」と「土星」の間に挿入されたこのオリジナル楽曲は、小品ながらも冨田版「惑星」が持っているドラマ性に更なる深みを与える重要な役割を果たしています。クラシック、スペース・サウンドはもとより、アンビエントエレクトロニカも飲み込んだ壮大な音絵巻。このULTIMATE EDITIONは、まぎれもなく現在の音としてイマジネイティヴに鳴り響いているのです。