ザ・ハイ・ラマズ『タラホミ・ウェイ』

タラホミ・ウェイ

タラホミ・ウェイ

ハイ・ラマズの音楽は『スノーバグ』や『バズル・ビー』辺りまではかなり熱心に聴いていたのですが、その後なんとなく遠ざかっていたので、随分久しぶりに接することになります。『スノーバグ』当時はエレクトロニカに接近していた彼らですが、この新作ではストリングスやホーンを多用し、すっかりアコースティック路線になっています。
題名の「タラホミ・ウェイ」とは架空の地名で、リーダーのショーン・オヘイガンによるとこのアルバムは「純真な不動産投機家の主人公は、自分が購入した土地を理想郷にすべく都市計画を構想し、まずこの“タラホミ通り”を建設する。結局通りを造っただけで街自体は出来上がらないんだけどね(苦笑)。もう一人の登場人物は、自動車の修理工という仕事に飽き飽きしているベリー・アダムズ。ある日、彼はすべてを捨てて海へ向い、シンガー・ソングライターとしての新たな人生を歩むことを決意するんだ」(ミュージック・マガジン誌5月号より)といったコンセプト・アルバムとのこと。こうしたコンセプトとサウンドづくりにはかつてのハーパース・ビザールを思い起こさせるものがあります。どこをとっても穏やかで耳に優しいメロディーとサウンドで、温泉でくつろいで羽をのばしているような心地よさに浸って楽しむことができました。