『劇場版マクロスF サヨナラノツバサ netabare album the end of”triangle”』

劇場版マクロスF サヨナラノツバサ netabare album the end of”triangle”

劇場版マクロスF サヨナラノツバサ netabare album the end of”triangle”

SMAP新曲の作・編曲を手がけたということで話題になっている菅野よう子ですが、アルバムとしてはこの劇場版マクロスFのサントラが最新の仕事。おそらくマクロスF関連のアルバムとしてはこれが最後(?)になると思われますが、締めくくりにふさわしい中身の濃いアルバムになっています。
マクロスFシリーズのサントラの特長は中島愛とMay'nの2人の歌姫を擁して、アイドル・ポップからR&BにわたるJ-POPへ大胆に接近しながらも、それらとは一線を画す高度な音楽性を聴かせたところにあります。菅野よう子に対してブログ等で熱烈なオマージュをささげた田中公平(この方も優れた作曲家ですが)は今の菅野よう子の音楽を『洗練された下世話の時代』と名づけているのですが、正に本作はその『洗練された下世話の時代』のメルクマールといえる作品だと思います。
全体的にはやや中島愛色が強いのですが、ドライヴ感にあふれたMay'nのヴォーカルがアルバム全体にダイナミズムを与えているし、演奏のエッジがこれまでに比べても際立っているので、80年代筒美京平的なメロディーをもつ「放課後オーバーフロウ」や魔法少女もの的なワルツ「虹色クマクマ」のようなアイドル色の強い楽曲が含まれているにもかかわらず、アルバム1枚通して聴くと、まるで全盛期のイエスのような音楽を聴いた気分になってしまうのですからおそろしい。特に表題曲は菅野のプログレ魂が全開になった力作です。他にも強烈な多幸感をもたらす「dジュディスタb」など充実した楽曲多し。昨年の実写映画のサントラ『SURELY SOMEDAY 』は彼女にしては今ひとつかと思ったのですが、本作は文句なしに傑作です。