Sinikka Langeland『MARIA'S SONG』

Maria's Song

Maria's Song

ノルウェーのフォーク・シンガー、Sinikka LangelandのECM2作目。“北欧のハープ”と呼ばれる民族楽器、カンテレを弾きながら、凛とした歌声を聴かせてくれます。それだけでも充分魅力的なのですが、このアルバムには趣向がこらされていて、彼女の歌とバッハの曲が交互に並ぶ構成になっているのです。バッハを演奏するのはLars Anders TomterによるヴィオラもしくはKare Nordstogaが奏でるオルガン。シンプルこのうえないサウンドでありながら、ノルウェーのトラッドとバッハが深いところで共鳴して、静謐でストイックかつ、奥行きのある音世界が展開されていきます。硬質な音響とモノクロームのジャケットもアルバムの崇高な美しさに大きく貢献。この企画がSinikka Langelandによるものか、レーベル主体なのかはわかりませんが、実にECMらしい一枚となっていますね。