初期
ストラヴィンスキーの3大
バレエ音楽といえば「
火の鳥」「ペトリューシュカ」「
春の祭典」。クラシックを聴き始めた頃、「ペトリューシュカ」と「
春の祭典」はすぐ好きになりましたが、「
火の鳥」については正直ピンと来ませんでした。鮮烈な色彩感と躍動するリズムをもつ2曲に比べるとずいぶん地味でフツーの曲に聴こえてしまったんですね。そんな私の目を覚ましてくれたのが、この
ブーレーズの旧盤。一般的に良く演奏される1919年
組曲版ではなくてオリジナル・ヴァージョンを採用したその演奏からは、
ラヴェルと肩を並べる程の鮮やかな響きが聴こえてきたのです。そうか、
ストラヴィンスキーって音楽の革命家である前に優れた職人だったのか、と気付かせてくれました。録音当時指揮者として冴えまくっていた
ブーレーズの指揮も巨大な編成のオケから迫力あるエネルギーと澄み切った響きを同時に引き出す、実にクールな演奏で素晴らしい。後年のシカゴ響との演奏も優れているのですが、この頃の怜悧といっていいほどのキレ味ある演奏には他に変えがたいカッコ良さがあるんだなあ。