これは待望の再発。
アラン・パーソンズ・プロジェクトへの参加でも知られる英国のシンガー・ソング・ライター、クリス・レインボウの3rdソロです。1枚目と2枚目は何度か再発されたものの、この3rdは一度CD化された後は無しのつぶてだったので、ようやくリマスター・紙ジャケという形で出たのはうれしいですね。やはりこのアルバムこそ、クリスの魅力が十全に発揮されているのですから。2ndアルバムで「Dear Braian」という
ブライアン・ウィルソンへのオマージュ曲を披露し、
山下達郎ばりの一人多重録音のコーラスを駆使するクリスですが、彼自身の作風は
ブライアン・ウィルソンというよりもブルース・ジョンストン的。この3rdアルバムには
ビーチ・ボーイズの名盤『サンフラワー』に収録されている、ブルース・ジョンストンの名曲「ディードリー」みたいな愛らしい曲が次から次へと飛び出すのですからたまりません。
ブライアン・ウィルソン愛は5曲目「Ring Ring」で発揮されています(「ディス・ホール・ワールド」のコーラスがちょっと出てくる)。演奏陣も
サイモン・フィリップスやマックス・ミドルトンといった凄腕の職人がガッチリとサポートして隙がありません。
ソフト・ロック、メロウAORとして文句の無い出来栄えのアルバムですが、埋もれてしまったのは、79年というパンク〜ニュー・ウェイヴが席巻した時期に発表されたせいもあるのでしょうね。