王より飛車を可愛がる日記(8)〜3/13棋音戦七番勝負第7局〜

あんころさんとの宿命(?)の七番勝負は3勝3敗のフルセットにもつれこみました。泣いても笑ってもこの一局で雌雄が決します。私が事前に考えていたのは「相手がどんな戦型で来ようとも中飛車で行く」ということだけでした。ただし、相振りになる可能性も高いと思ったので、ちょっと「鈴木大介の将棋 中飛車編」の相振りのところをめくって備えていました。
果たしてあんころさんの先手で始まった本局は、石田流vs中飛車の序盤戦へ(図1)。

囲いを後回しにして銀を繰り出した私に対して、あんころ棋音は穴熊へもぐる構えを見せます。速攻で中央突破を狙ったこちらに対して、あんころ棋音は飛車を右に転回して飛角交換。これは相手が穴熊を完成させる前に飛車を打ち込めるので、ややこちらが指しやすいかとこの時点では思っていたのですが・・・、いつになく積極的な棋音は変則的な美濃囲いにして横からの攻めを遮断し、角の重ね打ちで玉のコビンを厳しく狙ってきました(図2)。

じっくりした戦いになるかと思いきや、激しい展開になってきました。こちらの玉形が悪いので、ゆっくりした流れになれば手も足も出なくなってしまいます。だから乱戦は望むところなのですが、どこをどうやっても無理攻めになるのはしょうがないところ。それを承知で、唯一の攻め筋である端攻めを敢行しました。このあたり、あんころ棋音は「負けそうなのでやけになって攻めてきてる」と思っていたそうです。まあ、当たらずとも遠からず(笑)。この攻めが切れたら負けだな、と覚悟は決めていました。図3でもうどうしようもなくなったように見えますが、ここからドラマは生まれました。

まずは△4九龍と決断の龍切り。当然の▲同銀に勝負手△3九角打。これに全てを賭けました。次に2八金までの詰めろです。ここで手堅く先手から2八金と埋められていたら、攻めはストップ。こちらの玉も広いのですぐには詰まないでしょうが、豊富な持ち駒にものをいわされて、まず勝てない流れだったと思います。しかし、優勢を意識していた(実際そうでしたからね)あんころ棋音の心に油断が生じていたのでした。「2八桂でもいいかもしれないけど、これでも大丈夫だろう」と▲1六香と飛車を取ったのです!これが痛恨のポカ。突然こちらの世界がバラ色になりました(^^;)。前局は簡単な詰みを見落として負けたけど、今度はもう見逃さない。マウスを持つ手に渾身の力をこめて△1七香打!ボードゲームクラブの歴史に新たな頁が加わった瞬間でした。以下は簡単な詰み。(図4)

ついにタイトル奪取です!賞金があるわけでもないし、構成人数3人の集まりの中でのタイトルですが、うれしいことに変わりはありません。これから優勝者恒例の記念セレクトの作成にとりかかります。とにかくハッピーなものになる予定なので、あんころさん、めんちかつさん、乞うご期待!

先手:あんころ棋音
後手:風来坊

▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △5四歩 ▲7八飛 △5二飛 ▲4八玉 △5五歩 ▲3八玉 △1四歩 ▲7六飛 △4二銀▲5八金左 △5三銀 ▲7四歩 △同 歩 ▲同 飛 △7三歩 ▲3四飛 △6二玉 ▲2八玉 △1五歩 ▲1八香 △4四銀▲1九玉 △1三角 ▲6八銀 △3三銀 ▲1四飛 △5六歩 ▲1三飛成 △同 香 ▲7四歩 △7二金 ▲7三歩成 △同 金▲7四歩 △7二金 ▲5六歩 △6九飛 ▲3八銀 △8九飛成▲5五角 △8二銀 ▲4六角打 △4四銀 ▲8二角成 △同 金▲同角成 △5一玉 ▲8一馬 △1六歩 ▲同 歩 △1七歩 ▲同 香 △2五桂 ▲2八銀 △9九龍 ▲7三歩成 △4二玉▲6三と △5六飛 ▲5七歩 △1八歩 ▲同 玉 △1七桂成▲同 銀 △7六飛 ▲7七歩 △1六香 ▲同 銀 △同 飛▲1七香 △4九龍 ▲同 銀 △3九角 ▲1六香 △1七香 ▲同 桂 △2九銀 ▲同 玉 △2八金

まで82手で詰