2/5 第35期棋王戦 久保利明棋王vs佐藤康光九段

私が一番応援している棋士佐藤康光九段ですが、今期は不調が長引きついに順位戦A級の降格が決ってしまいました。2月3日の深夜に順位戦を終えた佐藤九段は、そのまま4日の朝に今回の棋王戦の対局地である上海に向かうハードスケジュール。一方の久保棋王も現在王将戦で羽生王将の持つタイトルに挑戦中なので、ダブルタイトルマッチとなって大変なのですが、なにしろ今一番勢いのある棋士。直近の対局でも佐藤九段に2連勝中です。「将棋世界」3月号のインタビュー記事で今期を振り返り「モチベーションを保ったままで戦うことのできなかった感じです。この棋王戦挑戦を機に、そういった負の気持ちをすべて振り払えたらと思います」と語っていた佐藤九段。この厳しい状況にどう立ち向かうのか、ハラハラしながら注目していたのですが・・・結果は、このタイトル戦にかける佐藤九段の意気込みが迸るかのような激しい展開になりました。
先手となった久保棋王は3手目を7五歩として早石田の作戦。これは久保棋王のエース戦法で、昨年佐藤九段に挑んだ棋王戦第2局でこの戦法から新手を繰り出し快勝。升田幸三賞の栄誉にも輝きました。今年の王将戦第1局でもこの戦法で羽生王将を破ったのも記憶に新しいところ。さあ、佐藤九段はどう迎え討つのか・・・と思ってたらいきなり角交換して筋違い角。えーと、これは確か「先手良し」と言われていたような・・・。さらに進行して、図の局面になりました。

B級陥落が決ったばかりで萎縮するどころか、荒ぶる気持ちをそのまま盤上にぶつけたような大乱戦です。「捌きのアーティスト」と呼ばれる久保棋王に「1八飛車、捌けるものなら捌いてみろ!」と挑戦しているかのよう。そして実際、この1八飛車はその後有効な働きができないまま、最終盤で佐藤九段に取られてしまいました。結果は佐藤九段の勝利。内容は難解で私には良くわかりませんでしたが、佐藤九段の熱い気持ちが伝わってきたように感じました。まさに激勝。この勢いでタイトルを奪取して欲しいですね。