カーティス・メイフィールド『ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ』

今年に入ってからなぜだか“温故知新”モードになって、ビートルズや『ペット・サウンズ』、『クリムゾン・キングの宮殿』など、名盤中の名盤を改めて聴くことが多いです。特に新発見があるわけでもなく、「やっぱり、イイネ〜♪」と唸ってばかりなのですが(^^;)、自分の中でこれらの名盤が干からびた物になっていないことを確認できたのは良かったですね。
今回取り上げたカーティスの代表作もその一枚。カーティスの作品の中でも最もラディカルでメッセージ色の濃いアルバムです。隙間が多く、かつ乾きに乾いたサウンドに漲る緊張感が凄いのひと言で、名バラード「ソー・イン・ラヴ」にもどこかピンと張り詰めた空気があるんですね。それでいて、私のようなライトなソウル・ミュージックのファンを拒絶しない懐の深さも感じられるのが名盤の名盤たる由縁でしょう。このアルバム以降のメロウ度を増したカーティスも大好きですが(特に『ネヴァー・セイ・ユー・キャント・サヴァイヴ』!)、やはりどれか一枚、となるとこのアルバムを選びます。同時期のスライ・ストーンスティーヴィー・ワンダーダニー・ハザウェイマーヴィン・ゲイなどと並べて聴きたいのはもちろんですが、個人的にはヴァン・ダイク・パークス『ディスカヴァー・アメリカ』と対比させてみたい気がします。