ジム・オルーク『ザ・ヴィジター』

ザ・ヴィジター

ザ・ヴィジター

予備知識なしで接したとき、まるでマイク・オールドフィールドみたいだなあ、なんて思っていたら本人が“現代版チューブラー・ベルズ”と説明していました。『チューブラー・ベルズ』よりは『ハージェスト・リッジ』の方に近いのでは、とも思いますが、いずれにしても表面的なこと。マイク・オールドフィールドのようなナイーヴさはここにはなく、たゆたうような空間の中にジム自らが演奏したという様々な楽器の響きが出たり入ったりして、ゆったりと流れていきます。こちらの心持ち次第で、多幸感あふれる音楽にもなれば、悪夢にもなるような音楽。そう考えるとジャケットのつぶれたミラーボールがにわかに意味深く思われてきます。これは何も考えずぼーっと楽しんだもの勝ちかも。そういう意味では極上のリラクゼーション・ミュージックといえるかもしれません。