V.A『雪と花の子守唄 ―バカラック・ララバイ集―』 

雪と花の子守唄-バカラック・ララバイ集-

雪と花の子守唄-バカラック・ララバイ集-

バカラック・ナンバーを・・・例えば「Close to you」や「This guy's in love with you」などを鼻歌交じりに口ずさんだり、口笛で奏でたりすることをたまにするのですが、その度に気づかされるのが、一見軽く、洒落て聴こえるメロディーにエモーショナルなものが宿っていることです。ただの職業作曲家の枠に留まらない、秘められた“熱さ”こそバカラックがポップス、ロック、ソウル、ジャズといったジャンルの壁を飛び越えて愛され続ける一番の理由ではないでしょうか。
ビートルズ・ナンバーをララバイにアレンジした『りんごの唄』シリーズの続編である本作はバカラックのララバイ・アレンジ集。プロデュースは鈴木惣一朗です。ララバイなのでもちろんゆったりしたアレンジで、優しく歌われている曲がほとんどなのですが、そのことが逆説的に上述したバカラックの特質をくっきりと浮かび上がらせています。トロピカル時代の細野晴臣のオマージュともいえる「Me Japanese Boy I Love You」のアレンジに見られる遊び心や、有名曲だけではなく未発表曲「Someday」も取り上げるといった選曲の工夫も心憎い仕上がりで、個人的には「りんごの唄」シリーズより気に入りましたよ。さすがにバカラックはこの1枚で終わりでしょうけど、もし次があるならジム・ウェッブをリクエストします!

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