坂本龍一『1996』

1996

1996

90年代になって急に輝きが失せてしまった教授の音楽ですが(最近はかなり盛り返してきましたが・・・)、このアルバムは例外で発売当時から何度も繰り返し聴きました。過去の楽曲をピアノ・トリオ編成で録音したアルバムで、適度な緊張感と硬質なリリシズムが全編を貫いています。この後ソロ・ピアノのアルバムを多くリリースしていく教授ですが、単独だと単調になってしまうきらいがあってソロ向きではないと思うのですがどうでしょう?教授のピアノはこのアルバムのように何かと共演することで映えます(だから近年立て続けに出されたalva-notoやフェネスなどの共演作が成功しているのでしょう)。このアルバムはシンプルな編成によってそれまで気づかなかった曲の魅力をくっきりと浮かび上がらせているのも美点のひとつ。例えば「美貌の青空」なんてオリジナルでは誰かさんのヴォーカルが全てを台無しにしていましたが(^^;)、このアルバムの演奏でやっと良い曲であったことがわかりましたよ。坂本龍一の経歴の中でも特異な位置にある傑作だと思います。またいつかこのようなアルバムを出してくれたらうれしいなあ。

坂本龍一: Merry Christmas,Mr Lawrence

季節的にやっぱりこれを取り上げるしかないでしょう。後半に「禁じられた色彩」のメロディーが出てきたのには興奮しましたねえ(^^;)。