デヴィッド・バーン&ブライアン・イーノ『エヴリシング・ザット・ハプンズ・ウィル・ハプン・トゥデイ』

『ブッシュ・オブ・ゴースツ』以来、27年ぶりとなる両者のコラボレーション・アルバム。バーンのヴォーカルを中心としたつくりになるだろうとは予想していましたが、こんなに大らかなメロディーを持つ曲揃いになるとまでは思っていませんでしたね〜。カントリー・テイストを感じさせる曲まであったのですから、これには少し意表をつかれました。サウンドをイーノが手がけ、メロディーと歌詞をバーンが担当するという共作形態で、バーンはイーノのサウンドに“エレクトロニック・フォーク・ゴスペル”的な感覚を感じたそうです。なるほどサイモン&ガーファンクルっぽい感触を持つ曲もあるし、ゴスペル的なコーラス・ワークも随所に聴くことができます。イーノのサウンドは音数が多い割にごちゃごちゃした印象を与えないのはさすが。アンビエントで培ったワザが生かされているのでしょうか。『ブッシュ・オブ・ゴースツ』がアフリカン・ビートという未知の世界に飛び込んだアルバムとするならば、本作はアメリカン・ミュージック探訪の趣があります。私は聴いていてブライアン・ウィルソンヴァン・ダイク・パークス『オレンジ・クレイト・アート』を連想していました。

Brian Eno & David Byrne "Strange Overtones"