風来坊、プラハを往く(10)〜Zdeňka Lukáše を聴く〜

遅い昼食を済ませた後はお土産を物色したりして時間をつぶし、頃合を見てチェコ・フィルの本拠地であるドボルザーク・ホールに向かいました。


この日のプログラムは昨年亡くなったチェコの作曲家Zdeňka Lukáše の生誕80年のメモリアル・コンサートです。といってもZdeňka Lukáše って誰?という方が多いでしょう。私もこれまで聴いたことがありませんでした(^^;)。ではなぜ聴いたことの無い人物のコンサートに行くことにしたのかというと、せっかくだから現地ではないと聴けないプログラムのコンサートがいいね、という好奇心からです。ディスクもほとんど出ていない人なので、全くの白紙状態でコンサートに臨みました。
フィガロの結婚」のときは私達以外の日本人らしき観客もちらほら目にしたのですが、この日はさすがにほぼ全ての観客が地元の人のようでした。プログラムは2部構成となっていましたが、全てが合唱曲でチェコ・フィルは登場しませんでした(当日会場入りして分かった(^^;))。でも難解な曲はなく、基本的にボヘミア民謡をベースにしたとおぼしい旋律を持った親しみやすい曲ばかりだったので予備知識なしでも充分楽しめましたよ。もちろん20世紀に生きた作曲家ですから、ただ民謡を普通にピアノ伴奏でアレンジした、というものではなく、独奏ヴァイオリンと絡ませたり、管楽器のアンサンブルと取り合わせたりと工夫を凝らした曲もあり、そこには確かに“今”の響きがあったと思います。第1部では混声や男声合唱団が曲毎に交代して演奏したのですが、第2部は全員がステージに登場。総勢150名弱の大編成で分厚く、芯のあるハーモニーを聴かせてくれました。

終了は19:30頃。元気があればこの後ブラック・ライト・シアターで上演している「ファウスト」でも見にいこうかと話していたのですが、さすがに疲れが残ったため、まっすぐホテルに戻り、食事は部屋で済ませてしまいました。
チェコに来てビールは飲まなかったの?と呆れる方もいるでしょうが、基本音楽優先なので(^^;)、食事にはあまりこだわらなかったんです。それでも初日の晩は豪勢にステーキを食し、「ここは地元のビールで一杯やろう!飲むぜぇ〜、超飲むぜぇ〜*1」と気合を入れてメニューに書いてあるチェコの黒ビールを指差したのですが、「ゴメンナサイ、今日は“ハイネケン”しかアリマセン」と告げるウェイターの声にずっこけてしまいましたよ。チェコ地ビールを味わえなかったのは、この旅行の数少ない心残りのひとつです。また次の機会があれば(何年後になるんでしょう?)・・・。



10回にわたって続いたこの旅日記もようやく最後のイベントまでたどりつきました。でも、もうちょっとだけ続くんじゃよ(^^;)。

*1:これはあくまでも気合で、実際の私はそれほどお酒は強くありません