風来坊、プラハを往く(9)〜鱒と少女達〜

プラハ城、カレル橋の観光も終え、とりあえず昼食ということになりました。基本的に音楽優先の旅なのであまり食事についてこだわりはなかったのですが、何か名物料理でも食べようかということになり、「川岸の景色を見ながら鱒のムニエルにしようや」とIさんから提案がありました。もちろん快諾。自信満々に川岸へ向かうIさんの足取りは疲れを感じさせず、力強い。私と違ってプラハには数回足を運んでいるのですから、これは期待できそうです。
「そっちにお勧めの店があるんですか?」
「いや、知らんよ」
「え?」
「とりあえず川岸に向かってるだけやから」
「ええ〜」期待が一転してイヤな予感に(^^;)。
〜およそ30分後〜
「あかん、無いな。旧市街広場に行こ。あの辺りなら何かあるやろ」
「とりあえず何か食べられればそれでいいです・・・」
予感が的中し、あえなく川岸から撤退。しかしこれが結果的にうれしいことになったのです。
旧市街広場は国民的英雄ヤン・フス銅像やからくり時計がある旧市庁舎の建物で有名な場所です。
 
とりあえずたどり着いたのはいいのですが、どうもこれだ!という店が見当たりません。さて、どうしようかと思案投げ首の我々でしたが、そのとき、教会から少女の一群がぞろぞろと現れました。なんだなんだ?どうやらまもなく教会で演奏会を行うらしく、その客引きとして出てきたようです。広場に少女達の歌声が広がりました。

あくまで宣伝なのでこの時点ではメンバーの真剣度に差があります(^^;)

場所はおそらく聖ミクラージュ教会です。


冒頭に述べたように基本的に音楽優先の旅ですから、当然食事は後回しになります。少女達の歌声に導かれて我々は教会に入りました。まずは混声の合唱団が数曲歌って演奏会はスタート。

そしていよいよ少女達の登場。グノー「アヴェ・マリア」に始まり、バルトークコール・ポーターなど幅広いジャンルからの選曲で楽しめました。また、教会ならではの深い残響が心地よかったです。

フィナーレは前の合唱団と合流しての「モルダウ」。定番ですがこういった場所で聴くと感慨もひとしおですね。

演奏が終わり、ささ、昼飯・・・と外に出ようとしたら、なんと少女達だけでまた「モルダウ」を歌いだしました。あわてて着席したところは出口近くとはいえ、彼女達の真正面。ほぼ目と鼻の先の距離でした。東洋のアヤシイ中年男にじっと見つめられるのはさぞ彼女たちも不気味なことだったでしょう。笑いをこらえながら歌ってる子もいたので、出来るだけ目をあわさないように聴いていましたよ(^^;)。



〜この日の昼食は結局ハンバーガーでした〜