ジョン・ハッセルといえば
ブライアン・イーノとの「第4世界」シリーズや
デヴィッド・シルヴィアン作品への参加などがまず浮かんできますが、このアルバムのプロデューサーは
ライ・クーダー。ちょっと変わった取り合わせに見えますが、できあがった作品は第4世界シリーズをアコースティックで展開したような興味深い音楽となりました。
デューク・エリントン「キャラバン」をカヴァーしたりもしていても、かなり抽象度を高くしているので違和感はありません。LAの教会で、マイク1本で録音したことからもたらされた独特の音像も聴きもので、音響に対するこだわりはある意味イーノとのコラボレーション以上かも。目を閉じて聴いていると、ジャズ、
エスノ、ミニマル、
アンビエントといった要素がハッセルの霧のようなトランペットにくるまれて渾然一体となって周囲を漂っているような感覚におそわれます。
ライ・クーダー、ジョン・ハッセル双方にとって異色作であり、なおかつ傑作。