初めて自分で意識した邦楽のアルバムが、なにを隠そうサーカスの1stでした。TVで流れていた「Mr.
サマータイム」に夢中になり、親にせがんで買ってもらったような覚えがあります。当時10歳だった子供の眼には彼らはとても大人びて、お洒落に見えたものでした。このコンピレーション・アルバムはアルファ時代の音源を全て収録したもので、ディスク1の最初の10曲が1stアルバムの曲です。アレンジは全曲
前田憲男が手がけていて統一感があり、今でも充分聴けます。曲も
大瀧詠一「
夢で逢えたら」や
吉田美奈子「ケッペキにいさん」や
ボズ・スキャッグスのカヴァーが収録されていて粒揃いです。当時はまだ
大瀧詠一のおの字も知らなかったのですが、こんな形でファースト・コンタクトを果たしていたんですね〜。今でも私にとって「
夢で逢えたら」といえばシリア・ポールや
ラッツ&スターではなくて、まずこのサーカスのヴァージョンが頭の中で鳴り響くんです。アルバム以外の曲では
坂本龍一がアレンジを手がけてヒットした「
アメリカン・フィーリング」も有名ですね。他にも
鈴木茂や
佐藤博がアレンジしている曲もあり、なるほどアルファならではの人選だと今にして思います。単になつかしさだけで終わらず、色々再発見があったのがうれしい一枚でした。