ドノヴァン『イン・コンサート』

In Concert

In Concert

次々とヒットを連発して時代の寵児となっていたドノヴァン、1967年夏のコンサートの模様を収録したライヴ・アルバム。フラワー・ムーヴメントの象徴的存在となっていた彼ですが、根っこのところはフォークであることを改めて教えてくれるアルバムとなっています。冒頭、MCによる熱い紹介の後、大きな拍手が出迎えます。普通のポップ・スターならここでまず掴みとして観客の期待に応える大ヒット曲「サンシャイン・スーパーマン」辺りをバチッと決めると思うのですが、ドノヴァンはいきなり弾き語りで地味なことこのうえない「アイレー島」(彼の隠れた名曲のひとつで、私は大好きなのですが)をしっとりと聴かせてしまうのです。しかしかえって私はここに当時の彼の自信を感じずにはいられません。その後もたまにドラムやサックス、フルートが味つけ程度に加わることがありますが、あくまで基本は弾き語りで勝負。「シレスト」「王妃グィナヴィーア」「ひなたぼっこをする作家」といった、アルバムにさりげなく入っていた佳曲が取り上げられているのもうれしいところです。それにしても彼の曲はどれもシンプルなメロディ、シンプルなリズムの繰り返しでできているのに何回聴いても飽きることがありません。良い音楽に本当に必要なものはなんだろうか?ということをドノヴァンを聴くといつも考えてしまうのです。