トゥマニ・ジャバテ『ザ・マンデ・ヴァリエーションズ』

ザ・マンデ・ヴァリエーションズ

ザ・マンデ・ヴァリエーションズ

世界をまたにかけて活躍するマリ出身のコラ奏者のソロ・アルバム。“コラ”というのは西アフリカのマリやセネガルなどの国でグリオー(王などに仕えて、一族の歴史を語ったり、誉め歌を歌ったりする世襲制の音楽家)によって奏でられる楽器で、瓢箪を胴体に使用したリュート型ハープに分類されます。トゥマニの一族も代々続くコラ奏者の家系だったそうです。
アフリカの伝統音楽だけではなくロックにも影響を受けて育ったトゥマニは、伝統を受け継ぎながらもそれだけに囚われない音楽活動を展開していきます。シンメトリック・オーケストラというバンドを結成して、92年には元サディスティック・ミカ・バンド今井裕プロデュースの下、アルバムを発表したこともあります。その後もタジ・マハールやアリ・ファルカ・トゥーレらと共演を重ねてきました。
そんな彼が改めてコラだけで作り上げたのがこのアルバム。クリアーでシャープな響きの中に、アフリカ音楽のみならず、インド音楽やフラメンコ、ミニマル・ミュージックなど様々な音楽の要素が入り混じり、それらが卓越した技量によって極めて洗練された音楽として昇華されています。これは美しい!


コラを演奏している動画をひとつ紹介しておきます。