12/25 ムーンライダーズ“First & Last Gig 2007”@渋谷クアトロ

昨日今日と2日間にわたってのムーンライダーズ、今年最初にして最後のライヴ。その1日目に行って来ました。
今年はメンバー各自がソロ活動に専念して、グループとしての動きはほとんど無かっただけに、どんな選曲で迫るのかを楽しみに開演を待っていたのですが・・・人でぎっしりの渋谷クアトロはこの年ではツライ全席立ち見。最近ちょっと腰の様子がおかしいこともあり、始まる前にもう半分バテていました(笑)。

場内暗転でいよいよスタート。まずは「さよならは夜明けの夢に」。しっとりいくのかなと思いきや、途中から爆音モードで攻めてきました。昔の曲中心でいくか・・・と予想してたら、続いたのが目下のところの最新作『Moon Over Rosebud』の博文曲「琥珀色の骨」。さらに「トラヴェシア」という予測不能な展開で序盤から早くも翻弄されまくり。くじらヴォーカルの「帰還〜ただいま」で一息ついて、かしぶちヴォーカルの「D/P」ヘ。ブライアン・フェリーばりに気取った歌いまわしが楽しい。そして無国籍なリズムが響きわたる「11月の晴れた午後には」で第1部終了。

第2部はメンバーのソロ・コーナーでした。
トップは鈴木慶一。無事制作が完了したソロ・アルバムからの曲をギターの弾き語りで披露。割とストレートな甘いメロディーをもつ前半部分が印象的でした。2番手は白井良明。慶一のサポート付で「スイート・ビター・キャンディー」。3番手は鈴木博文で、えーと、これはソロの曲だと思いますが曲名がわかりませんでした(笑)。ふーちゃんらしいメロディー・ラインを持ったいい曲でしたよ。4番目に登場したのは武川雅寛。クリスマスにちなんで「最後の木の実」。フラット・マンドリンの響きが美しかったです。無論、ここまでも充分楽しかったのですが、このコーナーで個人的に一番うれしかったのは最後の2人。5番手、かしぶち哲郎はくじらのヴァイオリンと共に名曲「冬のバラ」をしっとりと。久々に“かしぶち節”を堪能しました。そして最後は岡田徹。今回のライブのために、メロトロン、ヴォコーダー、小さいコルグを用意してきたそうですが、ここでピアノの弾き語りで聴かせてくれたのは、映画「マニアの受難」でちょこっとやってくれた、トム・ウェイツ1stからの曲「グレープフルーツ・ムーン」でした。これはうれしい驚きでしたね。

再びバンド・スタイルで後半戦。今回のライヴのアレンジは70年代の無国籍でモンドな感触と90年代以降のヘヴィなバンド・サウンドが渾然一体となったようでどの曲も新鮮でした。ぐっとタメを効かせた「駅は今、朝の中」、白井ばんちょの伸び伸びとした歌いっぷりで弾けた「静岡」、慶一のアヤシイ踊りが会場を沸かせた(?)「ウスクダラ」、バンドが一丸となって盛り上がった「Beep Beep Be オーライ」と、おなじみの曲や意外な曲を織り交ぜながらライブは進んでいきました。このブログの元ネタ(笑)、「One Way To The Heaven」をやってくれたのは予期せぬ彼らからのクリスマス・プレゼントと勝手に思っていますよ。そして「酔いどれダンス・ミュージック」、これは初期のライヴでやったアレンジだったと思います。こういうところの凝り方もうれしいですね。そして本編ラストは「ヤッホーヤッホーナンマイダ」。途中、ソロ回しがあったのですが、慶一のあおりによって、くじらがトランペット・ソロ〜フラット・マンドリン・ソロ〜ヴァイオリン・ソロを立て続けに演奏。しまいには3つ一編にもたされて演奏したのが笑えました。慶一のカッティング、人を食った博文のベース・ソロ、ごきげんな良明のギター、岡田のキーボード・ソロと続いていよいよ、かしぶち・・・と思ったら、サポート・ドラムスの夏秋文尚の重量感あふれるソロ。とてもかっこよかったのですが、やっぱりまだ激しいソロはかしぶちには無理かと思ったら、最後の最後にソロがありました!これは憎い演出でしたね。ほっとしましたよ。アンコールは「ダイナマイトとクールガイ」から続編の「Cool Dynamo, Right on」。この流れ、これからもライヴの定番になりそうですね。

力強いサウンドでしたが、いい具合に肩の力が抜けていた演奏だったと思います。来年の予定はまだ決まってないといいつつも「アルバムは出す」と語った慶一の言葉を楽しみに、彼らの更なる歩みをこれからも注目していきたいと思わせたライヴでした。でも今度は椅子席で見たいなあ(笑)。