紙ジャケになってジャケットがオリジナル仕様になってよかった。
ジョン・レノンのアルバムでどれかひとつだけ手元に残せといわれたら、ためらわずにこのアルバムを選びます。ソロ・アルバムの中で最も華やかな
サウンドになっているところに違和感を感じる方もいると思いますが、このアルバムにはある意味『ジョンの魂』より赤裸々なジョンがいます。どんなに切り詰めた
サウンドでふりしぼるように歌わざるを得なくても『ジョンの魂』にはヨーコが側にいました。彼女の存在が「wind
*1」のようにジョンを包み、あのアルバムは鋼のような強さを持つことができました。しかし、「失われた週末」時代に制作されたこのアルバムのときにはジョンを包むことができるのは音楽しかなかったのです。
エルトン・ジョンと共に歌い、ニルソン、
ジェシ・
エド・デイヴィス、クラウス・フォアマンといった友人に囲まれていても―いや、だからこそきわだつ深い孤独感。“Nobody Loves You,When You Down And out”。このアルバムには他のどのアルバムでも聴くことができないフラジャイルな
ジョン・レノンを感じることができます。そしてそのジョンの姿が私にとっては一番共感でき、親しみがもてるのです。