勝又清和『最新戦法の話』

最新戦法の話 (最強将棋21)

最新戦法の話 (最強将棋21)

「えー、今年印象に残った本について語っていきたいと思うのですが」
「なぜいきなり対話形式なんですか?ひょっとして某id:ankoroさんの・・・」
「もちろんパクリです。なんだか面白そうなんで」
「まあ、話を進めましょう。一冊目はこれですか。将棋の本ですね」
「ええ。今年最も繰り返し読んだ本なのでトップバッターとして登場してもらいました」
「今プロ棋士が指している代表的な戦法について解説した本ですね。ところであなた、そんなに将棋強かったですか?」
「まさか。5手詰でヒーヒー苦しんでいる初級者ですよ。この本のすごいところはですね、そんな人でも現在指されている戦法がどうやって生まれ、何を目的としているのか、その結果どうなったのかがわかるように書かれているんです」
「ほうほう。例えば?」

藤井システムは玉の安全についての概念を変え、8五飛戦法は飛車の位置を自由にし、一手損角換わりは「手損はマイナス」というイメージを打ち壊しました

と述べたくだりとか、居飛車穴熊に対する振り飛車側の対策について

穴熊に囲えばつぶすぞ」→藤井システム
穴熊に囲わせて端を破る」→コーヤン流
穴熊に囲えないわよ」→ゴキゲン中飛車

とまとめたところですね。引用された棋譜が難しくてわからなくても、こうして言葉で明晰にまとめてくれるとおおよそは分かったような気になるじゃないですか。」
「そうですね。こういうことを知っているだけでも観戦が楽しくなりますね」
「それと、それぞれの戦法を得意とする棋士にインタビューをしているのもこの本の大きな特色ですね。これによって単なる“解説書”に留まらない、“ドキュメンタリー”としての要素が加わって、内容に厚みをもたらしているといえます」
「インタビューを締めくくるのはもちろん羽生さんですか」
「ええ、なんといっても

羽生という棋士は、興味をもったらあらゆる戦型に出没し、問題を提起し、答えを出し、疾風のごとく去っていく

と書かれているくらいですからねえ」
「いやあ、やっぱりすごい人ですね。」
「まだまだこの本の魅力を語りつくしたとはいえないのですが、初回はこんなところで」
「続くんですか、この対話シリーズ?」
「それは中の人の気分次第ということで」