V.A『りんごの子守唄(白盤)』

Apple of our eye りんごの子守唄(白盤)

Apple of our eye りんごの子守唄(白盤)

赤盤、青盤と続いてきたビートルズ・カヴァー集の締めくくりは、グループが解散してソロ活動になってからの楽曲を集めたもの。鈴木惣一朗プロデュースによる、アコースティックで穏やかなアレンジのサウンドであることは共通していますが、ヴォーカルが男女の組み合わせとなっているのが新趣向。アン・サリー細野晴臣湯川潮音曽我部恵一などといった興味を惹かれる取り合わせとなっています。とはいっても、2人のヴォーカルが同じ位置にあるデュエットを期待するとやや肩透かしとなるでしょう。一方がメイン・ヴォーカルを取ってもう一方はそっとハーモニーをつけて寄り添うような形の共演が多いのです。そこを割り切ってしまえば充分楽しめるアルバムで、特に「オー・マイ・ラヴ」や「ルック・アット・ミー」のようなジョンの内省的な曲はこういったサウンド・コンセプトとは相性がいいです。ジョージが2曲収録されているのもうれしいところですが、リンゴの曲が「オンリー・ユー」というのがちょっと残念。「想い出のフォトグラフ」とかにして欲しかったなあ。とはいえこの曲での小池光子の歌はとても素晴らしいのですが。アルバムの最後は全員で歌う「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」で締め。定番ですが、やはりしみじみしますねえ。このシリーズ、3作ともサウンド、アートワークが一貫していて質の高いカヴァー・アルバムだったと思います。