マイク・オールドフィールド『ハージェスト・リッジ』

ハージェスト・リッジ(紙ジャケット仕様)

ハージェスト・リッジ(紙ジャケット仕様)

大ヒットした『チューブラー・ベルズ』とファンの間で人気が高い『オマドーン』に挟まれてやや地味な印象がある2作目。けれども完成度は両者にひけをとりません。マイクの音楽のもつ牧歌的性格がはっきりと出てきた作品で(『チューブラー・ベルズ』にもその要素はあるのですがエクソシストに使われたりして見えにくくなってしまった感があります)、聴くほどに味わいがます一枚です。ジャケットの犬と飛行機の組み合わせもいいですねえ。オーケストラを導入(アレンジと指揮はデヴィッド・ベッドフォード鈴木慶一版「Left Bank」も手がけた人ですね)したスケールの大きいサウンドながらも、マイクの少年時代の思い出の世界を旅しているかのようなプライベートな感触があるのがこの時期の彼のすごいところ。後半激しい展開になる場面もロック的ダイナミズムよりも自然の激しさを描写したものに聴こえます。コーラスで参加しているのは姉のサリー・オールドフィールドとメロウ・キャンドルのクローダー・シモンズ。マイクを聴き始めたときはブリティッシュ・フォークはほとんど知りませんでしたが、いつのまにかこうした形で出会っていたのですね。改めてクレジットや解説を読みながら聴きなおすと感慨深いものがあります。