イェラン・セルシェル、2枚目の
ビートルズ・アルバム。クラシック・ギタリストが
ビートルズをカヴァーするとなると避けて通れないのが
武満徹が編曲した『ギターのための12の歌』からの4曲ですが、それはもう1枚目で全部やっちゃっているし、前作と同様全てソロでやるとなると同工異曲の感を免れない。ということで、この2枚目は様々な工夫を凝らしたヴァラエティに富んだ一枚になっているのが魅力です。ポップス・ファンにも刺激的に響くのは
バンドネオン奏者ペル・アルネ・グロルヴィゲンと共演した3曲でしょう。単なるタンゴ・ヴァージョンではなくて、
ピアソラ的な緊張感があるのがポイントです。特に「カム・トゥゲザー」がカッコイイ。その後に良質な甘さのある
ジョージ・マーティン作曲「3つの
アメリカン・スケッチ」が続くのもいい感じ。そして最後は現代
キューバを代表する作曲家レオ・ブローウェルの手による、ギターと
弦楽合奏のための「イェスタデイからペニー・レインまで〜
ビートルズによる7つの歌」がどんと居座っています。元々ギターの名手としても知られたブローウェルだけに、
クラシック・ギターの魅力の引き出し方を知り尽くしたアレンジが素晴らしい。強いてどれか1曲選ぶなら、意外性で「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」かな。