システム7『PHOENIX』

Phoenix

Phoenix

“元ゴング”という肩書きはすっかり不要になったのではと思ってしまうくらい、「システム7」としてテクノ/トランス・ミュージック界での地位を確立した感のあるスティーヴ・ヒレッジですが、新作はジャケットを見れば一目瞭然、手塚治虫の「火の鳥」をテーマにしたアルバムです。
もともとテクノ/トランス・ミュージックの愛好者だった手塚治虫の長女、手塚るみ子が2004年のシステム7来日ツアーの際、「火の鳥」を楽屋にもってきて勧めたのがそもそもの始まり。手塚るみ子としては1曲でも作ってもらえれば・・・との気持ちだったそうですが、すっかり「火の鳥」の作品世界に夢中になったヒレッジはアルバム1枚まるごとつくりあげてしまいました。ジャケットだけではなく、曲名も原作のエピソードやキャラクター名を使用、さらに本人自ら楽曲解説までしてしまうという力の入れっぷりです。とはいってもあくまでこれはサントラやイメージ・アルバムではなくてシステム7の作品。音楽の基本にあるのはあくまでテクノ/トランスなので、人によっては違和感を感じるかもしれません。しかしスペイシーできらびやかななシンセとダンス・ビートがもたらす感覚はとても心地良いし、ヒレッジのギターがそこに絡むとロック色を感じられるのがユニークで面白い。ゲストも多彩ですが、目を惹くのはかつての同志、デヴィッド・アレンとクラムボンのミトの参加でしょう。アレン参加曲のストレンジな味わい、ミト参加曲のややハードな感触はアルバムの幅を広げるのに大きく寄与しているように思います。

System7「HINOTORI」PV

火の鳥」とテクノ/トランスの出会い。サイケな感覚もありますね。