アン・ブリッグス『森の妖精』

森の妖精(紙ジャケット仕様)

森の妖精(紙ジャケット仕様)

くりたぬきさん(id:yuki-731)が「許されるなら一度「風来坊さんの24時間ウォッチング・ツアー」を敢行したい」と書かれているのですが、ここ数年はこのような音楽を聴いていることが多いんですよ。決して「もってけ!セーラーふく」ばっかり聴いているわけじゃないですよ(笑)。


それはともかく『森の妖精』です。どんな音楽でもその魅力を言葉にするというのは大変に難しいことですが、こうしたシンプルな中に無限のニュアンスを感じ取れる作品に接すると改めてその難しさを実感させられます。バート・ヤンシュとの交流でも知られるアン・ブリッグスが1971年に発表した2ndアルバムで、トラッドのカヴァーが中心だった1stと異なり自作曲が大半を占めています。凛としているけどどこか草の香りがするような、それでいて泥臭くはない彼女の歌唱とエコー感が独特なギターの伴奏が、月並みな言い方ですが聴く者を英国の森へ誘ってくれます。一見ひっそりとした地味な佇まいですが、一歩足を踏み出すと繊細で豊かな世界が拡がっていることに気がつくはず。