伊藤銀次『Baby Blue』

BABY BLUE(紙ジャケット仕様)

BABY BLUE(紙ジャケット仕様)

伊藤銀次がソロとして再デビューを果たした一枚。私が彼を知ったのは“ごまのはえ”や『ナイアガラ・トライアングル Vol.1』ではなくて、佐野元春がDJを務めていたラジオ番組「サウンド・ストリート」でこのアルバムの収録曲「雨のステラ」を流したのがきっかけなので、個人的にも思い入れがあります。ジャケットを手がけたのが横尾忠則だったことは遅まきながら今回の再発で初めて知ったのですが、最初に手に取った当時から、「雨のステラ」を聴いたときに覚えた、洒落ていてなおかつ少しセンチメンタルな独特の雰囲気と共通するものがあるように感じたことを今でもはっきりと覚えています。当時はそれがとても“大人”に思えたものでした。
内容は銀次のオールディーズへの深い知識と愛着をまろやかにコーティングして仕上げた趣のある、バランスの取れた品のある音楽で、アップテンポの曲ではもっとエッジが立っていた方が・・・と思う瞬間もありますが、銀次の優しい声質を考えるとこれで良いのでしょうね。佐野元春が提供した「誰のせいでもない」はいかにも当時の佐野らしい歌詞と曲調で微笑ましい。蛇足ながら7曲目の「One Way Ticket The Moon」はこのブログのタイトル候補のひとつでありました(笑)。