柴田ヨクサル『ハチワンダイバー(4)』
- 作者: 柴田ヨクサル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/19
- メディア: コミック
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20年前、14歳で四段になった海豚は二こ神との対局に破れ去り、その影響で現在は勝率5割の七段という中堅の座に甘んじています。本来、将棋界で14歳で四段(=プロ)になるというのはものすごいスピード出世でかつエリートコースなんですよ。過去に中学生でプロになったのは加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、渡辺明のわずか4人。しかも加藤、谷川、羽生は名人位を獲得し、渡辺も現在ビッグ・タイトルである竜王位を3連覇と、4人とも天才少年の名に恥じない活躍ぶりです。こうしてみると海豚七段がいかに停滞してしまっているかがわかりますね。その忌まわしい過去を清算すべく二こ神の元を訪れた海豚は河川敷で凄まじい激闘を展開します。二こ神の得意技、雁木囲いからの入玉をかわそうとせず真っ向から粉砕にかかる海豚と、あくまで入玉を目指す二こ神。互いの意地とプライドが激突した一局は、劣勢に立たされながらも執念で海豚の見落としを誘い大技を決めた二こ神の勝利で終わります。負けはしたものの、何かがふっきれたような海豚七段と、終始プロへの敬意を忘れない二こ神、2人とも実に魅力的に描写されています。連載時に読んだときは、「このままかませ犬で終わらずに、立ち直って棋戦ではがんばってくれよ」と海豚七段を応援したい気分になったのですが、単行本の表紙を見ると、二こ神の読んでいる「週刊王将」の一面に菅田の師匠のモデルにしてこのマンガの将棋監修者・鈴木大介が快勝したとの記事が。そして右上には頭を抱えて悔しがっている海豚七段の写真・・・どうも鈴木の豪快流にやられてしまったのは彼のよう。しかも見出しが「海豚大ポカ 自爆」。おいおい、また見落としかよ!・・・いつか彼が活躍する場面が描かれることを願ってやみません(笑)。
こんな紆余曲折を経てようやく菅田の修行の場面となります。修行を終え、すっかり厳しい顔つきへと変貌した菅田がいよいよ斬野の元へと向うところでこの巻は終了。さて、その顛末は・・・。