『パルス・オブ・ザ・プラネット―自然界、驚異のサウンド―』

pulse of the planet

ユニークなディスク・ガイド「宇宙からの歌、宇宙への音*1で取り上げられているのを読んで以来ずっと探していたのですが、山尾敦史さんのブログ「ドメインパーキング」7月19日の記事で渋谷タワレコに在庫があることを知り、さっそく購入しました(山尾さん、情報ありがとうございます!)。
内容はタイトル通り、地球上のさまざまな自然音を集めたもので大きく5つのブロックに分かれています。順番にざっと素描していきましょう。「生活の音」はアフリカのバヤカ族やシベリアのシャーマンなどの歌や儀式の様子。「動物王国」は最も充実しているパートで、アリやコノハムシの発する微小な音からコヨーテやテナガザルの鳴き声に至るまで幅広い音が収録されています。いろんなツグミの声をスピードを落として再生した「鳥の歌の秘密」はナチュラルなメシアンといってもいいかも(笑)。「自然の利用」と名づけられたパートでは鹿威し、水琴窟、エオリアン・ハープが登場。ここだけぐっと和風ですね。そして最後の2つのパートはスケールがぐっと大きくなります。「大地の音」では溶岩流や北極の氷などに混じって鳴き砂の音も取り上げられているのが面白い。そして最後は「宇宙の音」。稲妻によって生じる、口笛のようなサウンドの「ホイッスラー」にはじまり、「木星のコーラス」や、太陽系の軌道上の星の運行をアナログ・シンセサイザーで音に置きかえた「天体の音楽」、人類が聴くことのできる最古の音「宇宙のバックグラウンド放射」など興味深い音の数々、個人的にもっとも楽しく聴くことができたパートでした。全33トラック。それぞれのトラックには英語のナレーションが挿入されていますが、あまり気にはなりません。国内盤にはナレーションの翻訳を含む解説書がついているのもうれしいところです。

関連リンク

タワレコのサイトでの紹介。リンクされている「フィールドレコーディング特集」も面白いですよ。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=615127&GOODS_SORT_CD=101

(追記)「宇宙からの歌、宇宙への音」で「パルス・オブ・ザ・プラネット」を選んだのはタワレコのスタッフ、松永耕一さんであることがわかりました。松永さんのブログに記事があったので紹介しておきます。

http://blog.goodygoody.jp/music_column/2007/04/32_2ff6.html

*1:様々なジャンルに渡って、レビュワーそれぞれが「宇宙の音」と感じるディスクを取り上げて紹介している本。まとまりのなさがかえって楽しいです。コスモスではなくてカオスモスな宇宙