ウィスパー・ヴォイスの女王
クロディーヌ・ロンジェ。彼女のアルバムはA&Mに残した、砂糖菓子のようにあま〜い一連の作品の評価が高いわけですが、バーナビーに移籍後の2枚もなかなかのもの。なかでも(不幸なことに)ラスト・アルバムとなってしまった本作はロック畑のアーティストのカヴァーを多く含んだ異色作で彼女の新境地をみせたもの。短いイントロダクションからいきなり
ビーチ・ボーイズの名曲「神のみぞ知る」、
ポール・マッカートニー1stソロ中の隠れた佳曲「エヴリ・ナイト」とたたみかけて、つかみはばっちり。彼女の儚げな声がよくマッチしています。その一方で中盤の「ジェラス・ガイ」〜「ドント・レット・ミー・ダウン」の
ジョン・レノン・メドレーはちょっと企画倒れか・・・決して悪くはないのですが。しかし後半
ニール・ヤング「バード」とグレアム・ナッシュ作「スリープ・ソング」で盛り返します。そしてタイトル・チューンはいわずとしれた
ストーンズ・ク
ラシックスですが、原曲での
ミック・ジャガーのシャウトなんてどこ吹く風といわんばかりの鼻歌感覚の歌唱が可愛らしくてたまりません。全体的に
ソフト・ロックというにはアシッド色が強い
サウンドも魅力的で、彼女のアルバムで私が最もリピートする一枚です。このたびめでたく紙ジャケ・リマスター化されました。内ジャケのノーマン・シーフによる
ポートレートもユニーク。海草を両手に持って、口をへの字に曲げて浜辺に佇んでいるその姿は、ハース・マルティネスの『ハース・フロム・アース』のジャケットをどこか連想させるところがあるのです。
ボーナス・トラックは4曲。中ではリン
ジー・ディ・ポール「シュガー・ミー」のカヴァーが良いできです。